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不条理音盤委員会 423 Clock DVA 「Buried Dreams」
- 2006/10/04(Wed) -
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1970年代後半に遡れることが可能なイギリス・シェフィールドを拠点とした偏執的にエレクトロニクスとダンス・ビートを合体させたClock DVAが1989年に発表したアルバムです。このユニットは基本的にはAdi Newtonのものと言ってもよいと思うのですが、最初期のDead DaughtersにはMartyn Wareと Ian Craig Marshという後にHuman Leagueを結成するメンバーも在籍していたましたし、またCabret Voitareのメンバーも初期には参加していました。そういうメンバー変遷からもわかるとおり、キャブスの影響の強いインダストリアル系の音から徐々にダンスビートを強調するようになってきた彼らは、機材の発達と共にヒプノティックかつ荘厳なデジタル・サウンドを目指すようになってきました。このアルバムではちょうど方向性としては過渡期に相当し、音響工作的な要素も取り入れた重厚なムードが支配する作品に仕上がっています。重苦しいベース・ラインの上にAdiの呪術的なヴォイスと女性の喘ぎ声がかぶる「Buried Dreams」、悪夢をそのまま音像化したようなノイズ感覚あふれる「Hide」、電子音が飛び交う中で何かを訴えるようなAdiのヴォーカルが印象的な「Sound Mirror」、クラシカルなフレーズを挿入した荘厳な曲調の「Velvet Realm」、単調なリズム・パターンの底からAdi Newtonが死について延々と語りかけてくる「The Unseen」、かなりポップな電子系の音とカミュに触発されたという歌詞のアンバランスが面白い「The Reign」、ミニマル・テクノ風の音に各種のコラージュを組み込んだ「The Act」、ハードなテクノ音とインダストリアル・サウンドの融合を聴かせる「The Hacker」、純粋にCabaret Voltaireのエピゴーネンと化した感のある「Connection Machine」、性行為のライブ録音にシンセをかぶせただけの「The Sonology Of Sex I 」、前述のPart1の声の部分を変調させて、デトロイト・テクノ風のビートをミックスさせた「The Sonology Of Sex II(Le Comtesse De Sang)」、PV用にかなりインダストリアルな音をソフトに加工した「The Hacker (video mix)」まで、ポスト・インダストリアル系のアーティストの一つの潮流であった人間の内面を抉るような神経質的な音が延々続くので万人にはお薦めできないアルバムではあります。とはいうものの彼らがベースにしているサウンドが意外なほどに最先端のダンス・ミュージックの要素と連動しているのを改めて感じた作品でもあります。

試聴音源はこちらから
http://www.amazon.com/Buried-Dreams-Clock-DVA/dp/B00005MLNI
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