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不条理音盤委員会 566 Sandii 「Mercy」
- 2008/04/25(Fri) -
mercy.jpg


ワールド・ミュージックのブームの真っ只中で発表されたこのアルバムは、当時世間では大絶賛されていたと思うのですが、個人的には???といった感もありました。無論サンディーさんのコケティッシュでセクシュアルなヴォーカルやDick Leeと久保田真琴氏のコラボによる汎アジア的なサウンドをベースにしたポップ感覚は見事なものがありますが、そのアジアの大衆音楽のエッセンスを何ゆえハウスやグラウンド・ビートと結びつけなくてはいけなかったのか?という疑問を覚えてくるのです。これをDick Leeがやった「Mad Chinaman」であれば、批判性や自虐性といった意味も付加されて面白いのですが、このサウンド・プロダクションはあまりに安易すぎるような気もするのです。ま、強いて言うならば資本の論理に基づいて要求されるワールド・ミュージックとしての商品性とそれに付随する先端性・差別性をアジア的なアイデンティティの具現化という隠れ蓑でくるんだ一種の踏み絵的な作品では?と思ったりするのです。異論もあるでしょうが、たまには脱構築的な見方で論じてみました(笑)。
いかにもDick Leeっぽいハウス風のセンスが光る「Mercy」、オリエンタルな雰囲気をあざとく強調し、これまたDick Leeの得意技であるラップ・ヴォーカルと日本古謡をミックスさせた「Sakura」、インドネシアの民謡を軽快なハウス仕立てにした「Ikan Kekek」、逆に超有名曲をダンドゥット風にアレンジした「Sukiyaki」、70年代ディスコ・サウンドを翻訳した感のある「Don’t Keep Giving」、グラウンド・ビートにのってエモーショナルにサンディーさんがシャウトする「Suriram」、ダンドゥット+ラップといった感のある「Hello」、メロウなミディアム・テンポのスピリチュアル・ソング「Cherir a Jamais」、このアルバムの中では一番異色な細野晴臣氏作曲のダークなエスノ・アンビエント的な「Water 4 A Barren Heart」、ケチャのサンプリングや童謡をメドレー仕立てにして汎アジア的な音で表現した「Ringo Oiwake~Antagata Dokosa~ Zui Zui Zuccolobashi」、ささやくようなアカペラの「Le Collinne Sono In Fiore」まで、ハイブリッド感あふれる音の連続なのですが、そのサウンド自体の古めかしさを差し引いてもどうも違和感を覚えてしまうような気がします。無論プロダクションそのものは完璧で一片の隙も見せないような緻密なものなのですが、逆にそのあまりにもの人工的な部分が気になってしまうのかもしれません。極端な言い方をすれば小賢しいような印象さえあります。そういった意味で冒頭で踏み絵的な作品と述べたわけなのですが、よく聴くと久保田氏とDick Leeの志向の差がはっきりとしていてそれはそれで面白いアルバムでもあります。

試聴音源はこちらから
http://www.hmv.co.jp/product/detail/529933

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コメント
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>ゆうけいさん
>単純に久保田麻琴さんの趣味の世界なんじゃないかと
・・・それを言ったらおしまいです(爆)。
ただ、このアルバムではDick Leeの趣味の方が濃いような気もします。
って、たまにはひねくれた見方もさせてください(爆)。

>スネークマンショーですね、ツボにハマって笑いがこみあげてきました
・・・「急いで口で吸え」でしたっけ??
ゆうけいさんってこういうのも好きだったんですか??
てっきりイチビリ系ばかりかと思っていましたが。。。。滝汗X100。
2008/04/27 00:40  | URL | 片桐真央 #-[ 編集] |  ▲ top

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>パイクマンさん、連投ありがとうございます。
・・・確かにあざといですよね(笑)。
いかにもといったアジアン情緒は賛否両論分かれるところです。

>サンディさんというと、「ジミー、ジミー、オ~オ、ジ~ミマック」です。
・・・彼女のヴォーカルで一番好きなのは幸宏さんのツアーでデュエットした「Drip Dry Eyes」でしょうか。。。
当時はYMO周辺のグループだと思われていましたね(笑)。
2008/04/27 00:34  | URL | 片桐真央 #-[ 編集] |  ▲ top

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単純に久保田麻琴さんの趣味の世界なんじゃないかと(笑。Eatin' Pleasureあたりもなつかしいです。

>サンディさんというと、「ジミー、ジミー、オ~オ、ジ~ミマック」です。

バイクマンさん、こん**は、スネークマンショーですね、ツボにハマって笑いがこみあげてきました。
2008/04/26 08:52  | URL | ゆうけい #PrUf/QBU[ 編集] |  ▲ top

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コチラにも失礼します。

サンディーさんのジャケのデザイン、今なら飛びつくのに
当時は飛びつかなかったくらい、
こういうレトロデザイン(詳しく何というかはわからない)
が普通にあった気がします。
多少あざとさは感じますがアジアン情緒の曲が好きです♪
Sukiyakiは聴いた覚えがありますね。

サンディさんというと、「ジミー、ジミー、オ~オ、ジ~ミマック」です。

2008/04/26 01:01  | URL | パイクマン #46H//4Ck[ 編集] |  ▲ top


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