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不条理音盤委員会 557 Curve  「Doppelganger」
- 2008/03/10(Mon) -
ATMでの出来事の話。
週末なのでちょっと余分にお金を下ろしておこうかと思い、3万5千円もあれば大丈夫だろうと、タッチ・パネルを無造作に押しました。
「でででで、ざざざざーーーーーーっ」
んん?やけにお札が数えられてるみたいだけど・・・、まぁ、いいか。懐が温かくなる気分を満喫できるからなぁ。。。。とちょっと気分が高揚していた片桐を襲ったのは「分厚い札束」。思わず目が点になりました。
ぎゃはは、3万5千円が千円札で35枚!財布が閉まりません(爆)。
何も考えずに3・5・千・円とパネルを操作してしまった末の喜劇&悲劇なのでありました。

curve.jpg

と、いうわけでポジティヴ・パンクであり、シューゲイザーでもあり、おまけにデジ・ロックの先駆者でもあるという何とも名誉ある称号を一身に背負ったDean GarciaとToni HallidayのユニットCurveが1992年に発表した1stアルバム「Doppelganger(邦題は「二重人格」・・・ちょっと違うぞ)」です。EurythmicsのDave Stewartの紹介で知り合った二人が紆余曲折を経て結成したこのユニットは、メランコリックにも感じられる憂鬱なメロディー・ラインをダークなヴォーカルで歌い上げるといった作風で、無論そこに師匠Dave Stewart仕込みの打ち込みのリズムと、この手のバンドに典型的なノイジーなギターが絡んでくるといったもので、まさに混沌とした美学が思うままに連ねられています。一聴してわかるとおり、ToniさんのスタイルはPatty SmithさんやSiouxsie Siouxさんをモデルにしていると思われるのですが、攻撃的なフレーズの連続の中から甘ったるい声で退廃を唱えられてしまうと、ついつい抱え込んでいた憂鬱が無限大に増幅されてしまって、何もかも投げ捨ててどこかへ逃亡したくなったりもするのです。
ダンサンブルなリズムと幾重にも重ねられたギター・ノイズが心地よい「Already Yours」、この手の音には欠かせないためいき系ヴォイスが印象的な「Horror Head」、重苦しくアグレッシヴなメロディー・ラインの「Wish You Dead」、パンキッシュなCocteau Twinsといった感の深いエコーがかけられた「Doppelganger」、もろシュゲイーザーという音響処理が施された「Lillies Dying」「Split into Fractions」、ハードなギター・フレーズが炸裂する「Ice That Melts the Tips」、金属的にギターを響かせる中でToniの声が浮遊感を誇示するが如き「Think & Act」、幽玄と混乱が同居したような「Fait Accompli」、アンビエントに通じるような静謐感の中から狂気が浮かび上がってくるような「Sandpit」まで、ダークネスに統一された狂乱の祝祭とも言うべき音が次々と繰り出されてくるのですが、残念ながらかなり美しいと思われるメロディーと比較すれば、轟音ノイズの処理があまりにも単一的で一本調子になっているような点が感じられます。その点に一工夫すればもっと高い評価を得られたような気もします。逆にある意味で平凡なままに終わってしまい、他の同系バンドとの差別化が出来なかったことがこのユニットの発展性の限界だったのかもしれません。

試聴音源はこちらから
http://www.hmv.co.jp/product/detail/204627
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コメント
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>AmlethMachinaさん、はじめまして。
>早すぎたガービッジという感じで、あまりに過小評価されているように思います。
・・・本文中ではあえて触れなかったのですが、個人的にはカーブとガービッジにはあまり類似性を感じません。
何ゆえ世間からこのアルバム、ひいてはこのユニットが過小評価されているかは、単に同系列のバンドから抜きん出るものが少なかったからであろうと思います。

「カッコウ」の方が確かに音的にはバラエティに富んだ部分もあります。
しかし、その時には既にデジロックの分野で同じようなことをやる人たちが出てきたので、そこでまた没個性化してしまったような印象がありました。

2008/03/12 22:30  | URL | 片桐真央 #-[ 編集] |  ▲ top

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>goglemanさん
・・・あはは、偶然です。でも35枚の千円札って異常に重いものでした(笑)。

・・・仰るとおり、才能を持て余したというかやりたいことを一気に詰めこんでしまったためにこんな風に仕上がったのかもしれません。例えば音響処理の仕方でもCocteau TwinsやJ&MCのように美しいノイズといった方法もあったと思うのですが、単にシューゲイザー風のみにとどまったのはやはり残念です。

>RECOILへトニーさん参加曲はカーヴぽかったりして少し笑いました。
・・・やはり、そう思いましたか?
って、Depeche Modeって結構ゴスに通じる部分あると思いません??
2008/03/12 22:20  | URL | 片桐真央 #-[ 編集] |  ▲ top

- はじめまして -

AmlethMachinaといいます。

カーブは早すぎたガービッジという感じで、あまりに過小評価されているように思います。とは言うもの、1stは一本調子というか散漫な印象だと思います。3rdシングルの「チェリーep」で所謂マイブラフォロワーとしては頭一つ抜けた感じがあって続いてリリースされたシングル「Fait Accompli」がよかっただけに、当時このアルバムにはビミョーな肩透かしを食らった気がしました。

その点で、2ndアルバム「カッコウ」の方を評価しておりまして、先行リリースされた「ミッシング・リンク」のインダストリアル感覚バリバリの感触が心地よく、既にシューゲイザーとかのレッテルが不要だと思った次第です。

これからも、よろしくお願いします。
2008/03/12 01:27  | URL | AmlethMachina #-[ 編集] |  ▲ top

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千円札で35枚…ご愁傷様です…
しかしATMでそのように操作するとバラで出てくるのですね~操作間違えたことないから知らなかった(冗談です)まあ世間には自宅に万札で59億円隠しているような人もいるらしいので(国税局も2日がかりで数えたとか)少しタイムリーな話題でした。さすが予言者の片桐さん。

さて本題…名盤ですよね~これ。確かに一本調子な感は否めませんが、ゆえに統一感もあるのではないでしょうか?ただあまりにノイジーな音処理にしすぎている所が敗因なのでしょうか?メロディーはたしかに甘い感じもあったりするので才能はある連中だったのでしょうね。惜しいといえば惜しいですね。関係ありませんが、教えていただいたRECOILへトニーさん参加曲はカーヴぽかったりして少し笑いました。アランさんもトニーさんの声の処理はカーヴを意識したのかな?と。でもイイ曲ですよね。それとトニーさん、結構タイプです(笑
2008/03/11 23:35  | URL | gogleman #-[ 編集] |  ▲ top


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