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不条理音盤委員会 559 Payuta And The Friends  「Departture」
- 2008/03/13(Thu) -
寒い話。
某博物館のQ氏(特に名前を秘す)はとても気前のよろしい方で、遊びに行くと必ず昼食や夕食をご馳走してくれるという大変奇特な方なのですが、彼の唯一?の欠点が親父ギャグでありまして、どうでもいい駄洒落のようなものを発しては一人でウケていて、その対応には苦慮してしまうときもままあったりするのですが、そのQ氏のこれまた美人の誉れ高い奥様が先日流行性感冒で床に伏せていた折に、しきりに「寒い、寒い」を連発させていたそうで、愛妻家としても名高いQ氏のこと、背中をさすってあげたり、ヒーターを点けてあげたりと甲斐甲斐しく面倒をみてあげた挙句に、最後に奥様が一言「あんたのギャグは寒い。。。」とのたまったそうで、この一言は意識的ではなく寝言だったと奥様は主張しているようなのですが、そんなところにも目に見えない夫婦の深い亀裂が潜んでいるものだと肝に銘じた片桐と言います。

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と、いうわけでシタール奏者のHarry PayutaさんがMatthias Monka(Vocals、 Piano、Organ)、Michi Schmidt(Percussion)、Frank Mattutat(Drums)というメンバーと作ったセッション・アルバム「Departure」です。この人はDissidentenのパーカッショニストであるMarlon Kleinさんから教えてもらい、またTuva出身のHUUN – HUUR –Tu’sのアルバムにもクレジットされていたので気にはなっていました。PayutaさんのHPによれば、そもそも70年代からジャズやロックのフィールドでギター、ベースを演奏していたようですが、1993年になって突如としてシャーマニズムや精神世界に傾倒してしまい、同時にシタールを学び始めて今日に至っているとのことで、そういった経歴もあって彼の音楽は「World Beat」と自称していも、ガチガチのインド音楽というわけではなく、あくまでも西欧的なポップ・ミュージックの枠組みの中でシタールで演奏しているのですが、そのシタールの独特の響かせ方も相俟って単なるエスノ・ポップものにとどまらない面白さを孕んでいます。
ロカビリー風の「What Wii Be There」、ラーガ・ロックを感じさせる(当たり前ですが。。。)サイケデリック感覚あふれる「Another Land」、カントリー・ロック・タッチで雄大な飛翔感を伴った「Like An Eagle」、2部に分けられ、Part2ではスペース・ロックに通じるような印象もある文明批判(Kraftwerkの同名曲を引用しています)の「Man Machine」、ブルースっぽい「Feeling Blue」、伸びやかなMatthiasさんのヴォーカルが耳に残る「Tell Me」、黒っぽいフレーズをシタールで弾いただけでこれだけ印象が変わるものかとしみじみ思うCanned Heatのカバーでもある「On The Road Again」、バックのシンセのフレーズや中盤の歌メロがDepeche Modeの某曲の完全なパクリな「It」、アフリカンっぽい雰囲気の「Who Are You」、フォーク・ロックっぽい歌メロの「My Way」、トロピカル気分が満喫できるZappaのカバー曲「Watermelon In Easter Hay」まで、ちょこちょこと有名曲のリフを織り込みながらのPayuta Worldが展開されていきます。おそらくはギターで演奏したら割と平凡に聞こえるのかもしれませんが、それをシタールで演奏することによってミクスチュア感覚が倍増するのでは?とも思います。またMatthias Monkaさんの朴訥なヴォーカルが心に響くのです。

試聴音源はこちらから
http://www.payuta.de/index.html
http://www.russiandvd.com/store/product.asp?sku=47710&genreid
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不条理音盤委員会 557 Analog Missionary 「Transmitter」
- 2007/12/07(Fri) -
エスニック料理、特にベトナムとかマレーシア料理を作ろうと思って、ピーナッツ・バターで下地を作ったときに悩む一言。「カラメルソースとキャラメルソース」。よく見かけるのですが、似た単語なので混同しやすいので一度ちゃんと調べようと思って検索してみたら、砂糖と水を鍋かレンジで焦がして湯でのばせばカラメルソース、冷ましたカラメルソースに生クリームを混ぜるのがキャラメルソースだそうで、めでたくカラメル・ソースにピーナッツ・バターを加えて中華風フライド・チキンを味わった片桐と言います。

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というわけで米国アラバマを拠点として活動しているAnalog Missionaryが2002年に発表した2ndアルバム「Transmitter」です。Anstrom(Vo、Thermin)、Tony Novak(B)、Kevin Kaiser(G)、The Mark(Dr)という4人組が奏でる音は基本的には陰鬱なメロを基盤としたゴシック・ムード漂うものなのですが、複雑に絡み合うメロディーやリズムはプログレシッヴ・ロックの影響もうかがえますし、またシューゲイザーのようなアンビエント感覚も感じられます。そんな静謐な雰囲気の音の壁の中から、ベリーダンサーでもあるAnstormさんの儚くも美しい歌声が震えるように聞こえてくるともはや現実との境界線を見失ってしまったかのような錯覚を覚え、つかの間の快楽を味わってしまうという何とも麻薬的な一枚になっています。アルバム全体を通せば、確かにMy Bloody ValentineやSlowdiveあるいはChapterhouseといったUKのシューゲイザー系のバンドのフォロワー的な見方もできますが、このバンドにはそういった先駆者にはないエスニックな要素の挿入や極端にくぐもったようなヴォーカルの処理、あるいはノイジーな音とクリアーな音の対比といった音響の部分にはいわゆる“キラキラ感”を出さない点が個人的には印象に残ります。そういった試みは聴いていると快感を招くのと同時に奈落の底に引き込まれていくような不安感や潜在的な恐怖をも呼び起こしてしまうような気がするのです。

おまけはサスペンス風の「Lilith」のPV。


試聴音源はこちらから
http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewprofile&friendid=4222705
http://www.mp3.com/albums/20006576/summary.html
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不条理音盤委員会 556 Starless & Bible Black  「Starless & Bible Black」
- 2007/12/05(Wed) -
千寿庵の蕎麦が気に入っている片桐と言います。
最近ブームなのかどうかは知らないのですが、新規開店した蕎麦屋さんがやたらと目につきます。麺類好きなので、そういう店を見かけるとついつい入ってしまうのですが、どうも不満があるのです。メニューや店のPOPには蕎麦粉が会津と山形とか北海道とかいろいろその店によって違いが有り、蕎麦自体は合格点を与えてもよいような美味さなのですが、いかんせんつゆの味が弱い店が多いというのが残念です。せっかくの蕎麦の旨味を受け入れられずに中途半端なままに甘かったり、出汁の引き出し方が不十分だったりと。。。。。あと一息という感じです。

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と、いうわけで、マンチェスターを中心に活動するStarless & Bible Blackの1stアルバムです。このユニット名からはただちにKing Crimsonの有名なアルバムが思い浮かぶのですが、Helene Gautier (Vocals) Peter Philipson (Guitars、Banjo、Dulcimer)、 Raz Ullah (Electronics、Guitar)の3人をコア・メンバーとし、Paul Blakesley (Double Bass、Vocals)と Brian Edwards (Drums)をリズム隊のサポートとして迎えたこのユニットは滑らかで落ち着いた音色のアコースティック・ギターを中心に、時にはジャジーに、時にはポップに刻まれるリズムと実験的なエレクトロニクスが融合されたフォークトロニカぽいアンサンブルに、センシティヴで白昼夢を思わせるHelene Gautierさんの天使降臨系ヴォーカルがのるという特異なもので、そもそもStarless & Bible Blackというバンド・ネーミングは英国のジャズピアニストStan Traceyの名曲に由来しているということです。本人たちもMy Spaceで公表しているようにそのブリティッシュ・フォーク的な感性はPentangleの影響があるのですが、実験的な音作りの部分はやはりF.ZappaやNina Hagenに相通じるようなものが感じられます。透明感あふれる歌声の背後でノイジーなギターがかき鳴らされる「Time Is For Everything」 、トイ・ポップのようにおもちゃ箱をひっくり返した如きカラフルなサウンドの「Hermonie」、フォーク・ロックとシューゲイザーが交雑したような「The Birley Tree」、初期のADⅡのようなエレクトロニクスによるジャジーなフリー・フォームの演奏を主体とした「B.B」、西海岸風のハーモニーとキラキラしたサイケデリック感覚が楽しい「016-013」 といった具合に一筋縄ではいかないような彼らのマジカル・ワールドはもうどうしようもなく極楽への道を示唆してくれるのであります。エクスペリメンタル好きなかたには是非ともお薦めの一枚であります。

試聴音源はこちらから
http://www.myspace.com/starlessbibleblack
http://www.timbreland.co.uk/artist_details/4_starless+and+bible+b.php







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不条理音盤委員会 519 Phantom/Ghost 「Three」
- 2007/07/15(Sun) -
果物の中ではパイナップルが好きで、カット・パインにしろ缶詰にしろ、はたまた果汁100%のジュースであろうと、何かしらは冷蔵庫に常備されている片桐と言います。時々夜中に甘いものが欲しくなったりするとき&小腹が空いた時にはパインの缶詰とヨーグルトを夜食にしたりすることも多いのです。それもヨーグルトをトロトロにして缶詰の果汁を注いで飲むのが結構お気に入りです。

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というわけで、Justus Kohckeの作品にもフィーチャーされているTocotronicのシンガーDirk von Lowtzowとエレクトロ・パンク系ユニットDas Bierbebebのプロデューサーでもあり、StellaのメンバーでもあるThies MyntherによるPhantom/Ghostの3rdアルバムです(タイトルがそのまんま)。前作までは割とNW寄りのテック・ハウス風の歌ものアルバムでしたが、今回はガラリと様相を変えてエクスペリメンタル・フォークに大胆に路線を変更しました。淡々と穏やかに紡がれる爪弾かれるアコースティック・ギターとまるでシューゲイザーのようにレイヤーされたシンセ、ミニマルなエレクトロ・ビートが交錯する中から柔らかな歌声やフィールド・レコーディングされた音源、それに子供によるコーラスがクロス・フェードしていくといったアンビエントな印象すらあるフォークトロニカ的な作品なのですが、そこはさすがにドイツ人だけあって実験精神もしっかり隠し味的に織り込まれているという至極で珠玉の一品に仕上がっています。Amon Duulの3rdアルバムが現代に制作されたらこんな音になってしまうでは?などと推測してしまう美しいナンバーが次々と展開されていくのですが、「Where More Gifted People Cracked」で聴かれるようなピアノやシンセに象徴されるように音色の隅々まで気を配ったサウンド・ワークは素晴らしいとしか言いようがなく、まさにファンタジックで夢見るようなひと時を体験させてくれるようなアルバムになっています。ポップじゃなくても綺麗な音だからいいじゃん!と思わず開き直ってしまう一枚であります。。。。。

試聴音源はこちらから
http://www.amazon.de/Three-Phantom-Ghost/dp/B000F7M8Q2



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不条理音盤委員会 511 Gaby Kerpel  「Carnabailito」
- 2007/06/27(Wed) -
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Prefab SproutとDurutti Columnをこよなく愛するmattsmoodさんのところでも紹介されていたアルバムです。
アルゼンチンの過激パフォーマンス集団デ・ラ・グァルダの「Villa Villa」の音楽を担当していたGaby Kerpel氏の1stソロ・アルバム「Camabailito」はエスニックな要素とエレクトロニクスを融合させたキッチュな感覚に満ちたトイトロニカ風の作品に仕上がっています。元々父親の影響もあってロック・バンドから音楽的なキャリアをスタートさせたようですが、表現の幅を拡げるために前衛パフォーマンスや映画音楽に徐々に関わっていくようになったとのこと。彼が言うには、とくに民俗音楽的なものには関心や興味はなかったらしいのですが、リズムの組み方やメロディ、使用楽器(サンプリング?)に至るまで南米独特の郷愁があふれているように感じられるのは、彼の企てたヒプノティックなサウンド・ワークの術中にまんまとはまってしまったということでしょう。
とぼけたような歌声と共に似非っぽいフォルクローレ風のメロが聴かれる「Sé que no Vas a Volver」、テープの逆回転のようなループ・サウンドが幻惑の世界に導く(アフロっぽい雰囲気あります)「Herías sin Herir」、祈りを連想させる「Seguís Sin Volver」、パーカッションやストリングの絡ませ方がインドを意識したかのような「Deseo y Culpa」、 呪文のようなヴォイスにムーディーな木管系の音が重なる、ちょっと不安を煽り立てるような「Budapestation」、XTCがオルタナ・ロックをパロディー化しているような「Xplicámelo」、ホーンも挿入される割とストレートなラテン・ロック調の「Cada Vez que la Visita」、Steve Reichのミニマル的な手法そのままに短い言葉が幾度となく繰り返される「Casi te Canto」、幼女?が呟きに近いような歌を聴かせる不可思議な「Gabytok」、軽やかなヴァイオリンとマリンバ風のシンセの対比が色鮮やかな「Toritos」、乱打される鳴り物がギクシャクとしたリズムで畳みかけてくる「Sintenerte」、 人力ブレイク・ビーツ+ボサ・ノヴァといった「Carnabailito」までポップさと実験性が適度に入り乱れた極めてひねくれ系の音に仕上がっているのですが、その至るところに見え隠れする光と影の絶妙なバランス加減の中に、ラテン・アメリカ諸国が背負っている宿命のようなものを感じ取ることが出来るのではないかとも思います。一種の試金石のような作品だという印象もあります。。。。。

試聴音源はこちらから
http://www.cduniverse.com/search/xx/music/pid/6134502/a/Carnabailito.htm



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不条理音盤委員会 491 Grouper 「Wide」
- 2007/04/09(Mon) -
先日もらったルーマニアのプラムの蒸留酒ツィカは口当たりが良くて体を温めるには最適だったと個人的には思っていて、また飲みたいと願っていたところ、今度はブルガリアのラキアを頂いてしまい、まるで当Blogのように東欧方面のお酒を嗜むようになってこれまた喜ばしいかぎりなのではありますが、こちらもプラムから蒸留した点ではツィカ同様なのですが、何しろアルコール度数が45度というまるで火を噴くような辛口のこのラキアをギンギンに冷やして飲むというのが通らしく、それでいて強烈な刺激の中からほんのりとプラムの香りが漂ってくるという官能さは何ものにも代えがたく感じて、ブルガリアのお姉ちゃんの谷間をついつい妄想しながら宿酔寸前に陥りそうな片桐と言います。
というわけで、カリフォルニアをベースとして活動しているOakland出身の女性アーティスLiz Harrisさんのソロ・プロジェクトGrouperの2ndアルバム「Wide」です。

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幾重にも重ねられたギターやエレクトロニクスの音は厚いベールのような印象がありますが、その一つ一つの音の境界すらはっきりさせない曖昧にも感じられるミニマル・ドローンのサウンド・スケープの中をLiz Harrisさんのシャーマニックな歌声が漂うこのアルバムは救いがたいほどの美しさを備えているような気がします。孤高のように思えて一筋の希望の光が感じられる音といった感じでしょうか??
ヴォイスとシンセが一つに溶け合いながら幽玄な雰囲気を醸し出す小品の「Make Me Over」から始まり、呟くが如きミニマル・フレーズを繰り返すギターが音の壁の向こう側から響いてくるような「Little Boat/Bone Dance (Audrey)」、ノイズと紙一重ギリギリのところで留まっている音響的な作品「Imposter in The Sky」、ちょっと形容しがたいようなピアノの不思議なメロが妙に気になって仕方がない「Giving It to You」、荘厳で宗教的な印象もある「Agate Beach」、ダブ風に処理されたアコ・ギとヴォイスが虚ろに響く「They Moved everything」、Lizさんの声に酔ってしまう43秒のインタールード的な「Black Blood」をはさんで、ちょっとJoy Divisionの「Atomosphere」に似たメロが浮かんでは消える「Shadow Rise, Drowned」、水の流れる音のSEとかき鳴らされるギター、それにヴォイスが何度となく交錯しては消えていく「Wide」まで、単純にノイズやエクスペリメンタルとは言いがたい神秘的な様相も色濃いアルバムだという気がします。もっとも神秘的といってもニュー・エイジやヒーリングといった安直な路線ではなく、ジャケットに象徴されるように、もっと根源的な部分から生み出された音なのではないかと感じます。いわば、大地母神が奏でる音楽といったところでしょうか。。。。

試聴音源はこちらから
http://www.myspace.com/grouperrepuorg
http://www.midheaven.com/artists/grouper.html


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不条理音盤委員会 471 So Quiet 「So Quiet」
- 2007/02/22(Thu) -
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almondeyedさんの素敵なBlog「この世はレースのようにやわらかい」で紹介されていたSo Quietのセルフ・タイトルのミニ・アルバムです。So QuietとはTomasz Bienというワルシャワ出身のポーランド人のソロ・プロジェクトのようで、At Homeというデュオ・ユニットでも活動しているらしいこと、ポーランドのバンドのサポートをやっていること、といった簡単な紹介がリリース元のスペインのネット・レーベルError! Lo-Fi Recordingsに記されています。エレ・ピのコード弾きとクリック音を背景に呟くようなヴォーカルを聴かせた後で、徐々にパルス風のエレクトロニクス音が絡んでいく「September」、オルゴールのような可愛らしい音が幾重にも重ねられていくトイトロニカ風の「Night Time」、ギターやベルといったアコースティックな音を効果的に配した「Waiting For Winter」、風か波を模したようなSEと重苦しい雰囲気のピアノの上を、ノイジーな発信音を従えてベルが転がるようなメロディーを奏でていくという不思議な感覚を覚える「Is This」、エフェクト処理?されたヴォーカルを前面にもってきた、心象風景的なナンバーの「Drawing」、めちゃスローのエレ・ピのシンプルなフレーズの上を様々な音は現れては消えていくといったミニマル・サイケにも通じる雰囲気の「This Is」、紙をめくるようなSEにのせて“I Want To Be Someone”と呟く「So so Quiet」まで、極めて内省的な音が続いているのですが、そのあまりにシンプルな音の一つ一つはどれもが寒々とした響きを伴っていて、どこか孤独の状況に陥っている一人の人間を表現したもののようにも感じます。静寂を求め、安寧を保つことによって、自己の心の深淵を覗きこみ、そこから本当の自分を探し出すという心理学的な手法があるのですが、Tomasz Bienという人にとってこの音楽を生み出す過程はそういったセラピーに相当するのでは?などとついつい勘繰ってしまうほど、寂寞とした世界が広がっているような印象があります。

So Quietのmyspace.comはこちらから
http://myspace.com/soquietsoquiet
DLはこちらから
http://www.error-lofi.com/lofi10.htm




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不条理音盤委員会 452 Mice Parade 「Obrigado Saudade」
- 2006/12/20(Wed) -
儚さと虚しさは紙一重のようで実はその間には埋めがたい大きな溝が横たわっているような気がします。と、似非ロマンティックなことを言っているのは折から舞っている粉雪が、薄い雪化粧の装いを冬の街にプレゼントした途端に陽光でとけてしまう瞬間がもののあわれにも似ているからです。というわけで、Dylan Group、HIMといったユニットやMUMでのサポートと八面六臂の活躍をみせているドラマーのAdam Pireceのソロ・ユニットMice Paradeの4枚目のアルバム「Obrigado Saudade」です。

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エレクトロニカ、ポスト・ロック、ラウンジといったジャンルの境界線上でイマジネーションあふれる音つくりをしているAdam Pireceの音楽は美しいハーモニーと少し切ないメロディーが交錯した淡い感傷的なもので、夢心地にも似た儚さを感じさせるような気がします。とはいうものの砂糖菓子のように甘すぎるのでもなく、記憶の彼方に埋もれていた風景が突如として登場してくるようなシュールレアリスティックな夢のような、はたまたデ・ジャヴのような現実と架空の中間に位置するような浮遊感を漂わせた感覚というべきか、強固に構築された輪郭が徐々に滲んでくるようなそんな不思議な気配を覚えてくる音のような印象があります。爪弾かれるアコ・ギにMumのKristin Valtysdottirの必殺ウィスパー・ヴォイスが絡んでいく「Two,Three,Fall」、ジャズ・フュージョン+オリエンタルな感覚のメロディーとファンクぽいリズム、ヴァイヴの華麗な響きなどがどことなく、Pierre Moerlen's Gongを連想させる10分もの長尺ナンバー「Mystery Brethren」、ルンバ・フラメンコ風のギターと転がるようなエレ・ピ、それに朴訥なヴォーカルがのるラテン・フュージョン風(曲の終盤はシューゲイザーっぽくなりますが。。。)の「Focus On The Roller Coaster」、短いフレーズを繰り返すギターに楊琴がアクセントを加えていく「And Still It Sits In Front Of You」、ミニマル・ジャズ的な「Wave Greeting」、目まぐるしく曲調が変化していく「Here Today」、ボレロとポップ・フラメンコを合体させたような「Milton Road」、再びKristinの声が聴かれるキラー・チューン「Spain」、 東洋風のエッセンスがタイトルを示唆していると思われる、ちょっとポスト・ロック的な音響処理も印象的な「Out Of The Freedom World」、ガムランを意識したような音の階層的な構造に雄大な雰囲気を覚える「Guitars For Plants」、意味深なタイトルを持つシンプルでかつ物悲しさを表現したような「Refrain Tomorrow」まで、 まるで幾重にも色が重ねられたパステル画のような、それでいてドリーミーでありながら一抹の寂しさを感じるような音が連続しているような作品だと感じます。普段打ち込みばかり聴いているせいもあるかもしれないのですが、Adam Pierceの生ドラムの音がまるで自分の鼓動と連動しているような錯覚もふと覚えたりします。

試聴音源はこちらから
http://www.cduniverse.com/search/
xx/music/pid/6353778/a/Obrigado+Saudade.htm


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不条理音盤委員会 446 Beirut 「Gulag Orkestar」
- 2006/12/11(Mon) -
普段はポーランド・ウォッカの代表選手のズブロッカをライム・ジュースで割ったモスコミュールもどきを愛飲しているのですが、ルーマニアのスモモの蒸留酒ツイカをもらったので、この頃はそれをホット・ツイカにして体をあたためている片桐です(笑)。

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というわけで(謎)、マリアッチ楽団でのアコーディオンかトランペット希望というパイクマンさんの「Antenna Blog」でも紹介されていたZach CondonによるユニットBeirutの1stアルバムということは「パイクマンさんに先回りされた音盤を片桐が後追いする」シリーズ第二弾になります。意味深なジャケットと基本的に一人でトランペット、ウクレレ、アコーディオン、ピアノなどを演奏(一部の曲でNeutral Milk HotelのJeremy Barnes やA Hawk and a HacksawのHeather Trostなどがサポート)して創りあげたこのアルバムはインナー・スリーブにも書かれているように東欧やジプシー音楽に傾倒している彼の嗜好性がそのまま表現されているような哀愁に満ちた物悲しくもモノクロームな雰囲気に満ちています。またマリアッチに近いような感触があるのもこのアルバムの要素の一つで、それは彼がニュー・メキシコ州アルバカーキ出身ということがあるのだと思います。まさ「(旧ソ連の)労働収容所のオーケストラ」というタイトルとおりのちょっと苦味走った音とヴォーカルは西欧世界とは一線を画したものを感じざるを得ません。ジプシー・ブラス風のシンプルなメロディが何度もリフレインされる「Gulag Orkestar」、アコーディオンをフューチャーしたワルツ~ジンタ風の「Prenzlauerberg」、フォルクローレとマリアッチがブレンドされたような(でも、ブラスは東欧ぽい雰囲気あり・・・汗)「Brandenburg」、マリアッチの色彩が濃い音にZachが伸びやかな声で歌う「Postcards from Italy」、アコーディオンとトランペットを前面に打ち出しながら朴訥なスタイルのヴォーカルが心を打つ「Mount Wroclai (Idle Days)」、 このタイトルのHeartlandというのはどこを指すのか思わず考え込んでしまう無国籍風の「Rhineland (Heartland)」、キーボードのボサノバのリズム音源をそのまま借用したようなチープな「Scenic World」、かなり中近東の要素を意識したと思われる東欧的なブラス・サウンドの「Bratislava」、ハバネーラとニューオリンズが合体したようなにぎやかなイメージを喚起させる「Bunker」、ボレーロを下地とした「Canals of Our City」、チェンバー・ポップやキャバレー・ソングとの類似点も感じられる「After the Curtain」まで、録音やZachの声質もあるのでしょうが、戦前のSPのようなレトロな感覚を単にキッチュに処理したのではなく、東欧に対する憧憬や幻想を織り込みながら心象風景を描いていったのではないかと思われる、じわりと心に染み入ってくるようなぬくもりのようなものを感じさせるアルバムという印象を覚えるのです。

試聴音源はこちらから
http://www.amazon.com/Gulag-Orkestar-Beirut/dp/B000F5GO0A



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不条理音盤委員会 417 Monoland 「Cooning」
- 2006/08/29(Tue) -
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無意味に傍観者を気取っていると、結構世の中が見えてきて面白いものです。そんな時には濃い目のアイス・コーヒーを片手にサイケデリックな世界に逃避するのが一番だと、フィードバックのノイズの海にまみれながら一人で自嘲的に暮らしているわけですが、そんな時に限って君のおかげで混乱の渦に否応もなく巻き込まれてしまうのですが。。。。というわけで、ドイツ在住のBerliner Marco Blazejczak (Vo、G)、, Matthias Ecker (B)、Henrik Schiemann (G)、Daniel Grinstead (Dr)の4人かなるMonolandが2001年に発表した2nd?アルバム「Cooning」です。My Bloody Valetentineのフォロワー的なフィードバック・ギターと音響系のアプローチが混在しているこのアルバムは冷ややかなアンビエント感覚を伴ったクールな感触が特徴的で、憂いの帯びたサウンドとくぐもったような浮遊感が聴く者を幻想的な世界に誘ってくれます。「Loveless」の世界をほぼ再現しているような「Da Pale」、ギターとエレクトロニクスの音の壁の中をちょっとファンキーなリズムが跳ね回る「Cooning(独特のリズム感覚が冴えています)」、ゲストの女性ヴォーカルGwendolin Targetと共にノスタルジックで儚い美メロを歌う「Mortel Fumatone」、アナログ音源のループと呟くようなギターが延々と続く音響実験のようなアバンギャルド的な「Mc Cann」、アンビエントな音響空間を演出しながら音の定位が徐々に拡散していくような「Orcin」、ダブ的な発想によるギターの音処理が冷気のような響きを伴ってくる「Moon」、インド風のサンプリング音源を使用した奇妙なアンビエント・ダブ的なサウンドの「Vadoo」、サイケデリック感覚濃厚なシューゲイザー的な音作りが眩暈を招く「Embrace」、二本のギターがかき鳴らされる中で、男女ヴォーカルが切なげなメロディーを囁くように歌う「Honolulu」まで、ドリーミーでファンタジックな音の空間のように感じる一方で、妙に冷ややかな狂気のようなものを感じる瞬間が素敵な一枚です。

彼らのHPで全曲フルに試聴できます。
http://www.monoland-music.de/html/discography.html

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不条理音盤委員会 378 Smashing Orange 「The Glass Bead Game」
- 2006/07/06(Thu) -
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Jesus And Mary Chainから生まれたシューゲイザー的な音は90年代には音響系やスロウ・コアといった要素と融合した様々な形態を伴って各地に蔓延していったのですが、USAのRob と Sara による Montejo 兄妹によるSmashing Orangeも明らかにJ&MCからMy Bloody Valentineにいたる遺伝子を継承したユニットだ思います。男女のツイン・ヴォーカルとフィードバック・ノイズを含む音像空間、そしてスネアやタムのフィルといった細かい所までMBV的でシューゲイザー的な様式美を守っているのと同時に、当時のアメリカでのメインストリームの一角を占めていたグランジ/オルタナ路線をも視点に入れた音はデリケートさと荒々しさが同居するといった印象があります。この1992年に発表された1stアルバムの「The Glass Bead Game」では未だ手探り状態ながら自分たちのオリジナリティを模索しているような荒削りな音の波状攻撃で、その音響空間はモノクロームのサイケデリックに染まっていきます。歪んだギターの音がオルタナ寄りにも聴こえる「Remember Kendra」、RobとSaraのダークネスで陰影に富んだツイン・ヴォーカル・ナンバーの「Wired」、ギター・ノイズとシンセがスパイラル状に交差していく「Flower Kisses」、The Cureのオルタナ/シューゲイザー・ヴァージョンのような軽やかなフットワークを聴かせる「All Girls Are Mine」、グランジよりの激しいギターが耳に残る「Something Comes Down」、エレクトロニクスとギターが奇妙な音を奏で、それに合わせたかのような摩訶不思議なコード・チェンジを伴う歌メロが不安感を煽るような「Indians Say」、打って変わって非常にポップな歌メロの「Look Behind You」、ミディアム・テンポながらグルーブ感あふれるリズム隊が活躍する「How Did You Feel」、暴れまわる鋭角的なギターが印象的なグランジ色が濃い「Highway」、シューゲイザー的感覚をアメリカ流に翻訳したと思しき「Below And Beyond」まで、ギターの音色が空中を飛び交う中でしっかりとリズム隊がボトムをキープしているといった感があるのですが、そういったサウンドワークと比較するとヴォーカルの音の定位の処理がやや曖昧なような気がします。全体としてはかなりエッジの利いたサウンドに仕上がっているのですが、RobとSaraの声が案外ライトなので、その点で肩透かしを食らってしまうような不満を覚えてしまい、そのためか、シューゲイザーでもオルタナでもない中途半でどっちつかずな印象が残るのもまた事実です。

試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/60545/summary.html

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不条理音盤委員会 376 Pacific UV 「Pacific UV」
- 2006/07/04(Tue) -
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色彩心理学的な見方をするならば、赤という色には「高い品位、鎮静、厳粛、愛らしさ、優美、華麗さ」を表わす一方で、精神状態を活発化させる効果もあるとされています。Clay Jordan、Howard Hudson、Lucas Jensenの3人からなる音響系ユニットのPacific UVの1stアルバムのジャケットはモノクロームの写真を全面赤に彩色しているのですが、ここから流れてくる音はまさにこの定義にあてはまるような音かもしれません。ギター、チェロ、エレクトロニクスをフューチャーしたいわゆるポスト・ロックの中でもスロウ・コアの範疇に含まれると思われる幽玄な音空間は一聴して、Sigar Rosっぽく聴こえますが(実際前座もつとめたらしいですが・・・)、Azure RayのMaria Tylorがゲスト・ヴォーカルをつとめている曲でも顕著なように、どこか品位と愛らしさも兼ね備えているような気がします。ギターの音が物静かに響く中で呟くような歌声の虚ろさが印象的な「Static In Waves」、Maria Taylorの声さえも一つの音響空間を構成するツールの一つと化してしまったように複雑に溶け合った音がゆるやかに流れ出てくるような「Out In The Blue」、不可思議な音が次々と交錯していく「LAPD vs.NYPD」、優雅にも思える幾重にも重ねられた音の一つ一つが輝いている「Maryanne」、奇妙な転調と逆回転音がサイケデリックな雰囲気を醸し出す「Your Grilfriend In The Ivy」、緩やかな音の組み立ての中に潜んだ狂気のようなものを感じさせる「Scarlet」、やはりMaria Tylorをフューチャーしたややシューゲイザー的な「Blind」、クラシカルなストリング音とプリペイドされた?ピアノが交差していく「God Is So Tired」まで、極めて内省的で箱庭的な音の世界を繰り広げています。多層的に重ねられた音のどれもが自己主張をすることなく、まるで大気の中を漂う微粒子となってスピーカーから発せられる瞬間はどこか無限の空間をさりげなく演出しているような、つい時間を忘れてしまう錯覚に陥ってしまいそうな気になります。


機械的に配列されているだけの不思議な二重らせん構造。そこに僕と君との微妙で確実な差がある。でも、それを解きほぐして確かめても、多分溝は永遠に埋まらないだろうね?封印された君の想い出をオマージュに変えて、絶望的なまでの青空の下でちょっと強がりながら明日の記憶をたぐりよせてみる。


試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/592258/summary.html

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不条理音盤委員会 347 Readymade 「One Point Red」
- 2006/04/17(Mon) -
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カナダ・バンクーバー出身のReadymadeが2001年に発表した2ndアルバムです。シューゲイザー的なディレイ・ギターをメインに切なくも哀愁漂うアコ・ギや浮遊するようなシンセといったエレクトロニクスを絡ませた音を背景に、虚ろな表情で呟くように歌うArchのヴォーカルが流れていくというコンセプトは美しいとしか言いようがありません。幽玄とも換言出来そうなこの音響世界は決して密室的ではなく、輪郭のはっきりしないぼやけた音の中をまるで低空飛行でもするかのごとく、ゆっくりと心に沁みていくような気がします。シンプルなアコ・ギのカッティングとそれにまとわりつくようなシンセの組み合わせが永遠に続くのではないかと錯覚してしまう「Peacetime Boom That Never Ends」、ギターノイズを従えてくぐもったヴォーカル処理が施された「Lightstrands」、不規則なドラムに導かれ、時折聴かれるピアノの響きも美しい「Cold Lamping」、サイケデリックで雄大な雰囲気を感じる「Sam」、Blind Mr.Jonesにも似た雰囲気の「Blind Tomorrow」、幾重にも重ねられたシンセにかき鳴らされるギターの組み合わせが無常感すら覚える「No Longer Ortona」、タイトル通りにストリング系のシンセがアンビエントな音響空間を演出する「Terminal Sounds at Night」、UKインディー・ロックに通じるポップ・センスがあふれる「New People」、ヴォーカルとギターの深いエコーがまるで深海の中から響いてくるような「Adrift Ambition」、金属的な音のシンセ、打ち込みのループとArchのハミングが印象的な「Block Alone」まで、霧の中の世界を漂うような錯覚を覚えてしまうようなトリップ感を兼ね備えたアルバムという気がします。

公式HPはこちらから(数曲DL出来ます)
http://www.readymade-yvr.com/
試聴音源はこちらから
http://www.zunior.com/product_info.php?cPath=104_139&products_id=201
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不条理音盤委員会 346 Epic 45 「Against the Pull of Autumn」
- 2006/04/16(Sun) -
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UK・バーミンガム出身のポスト・ロックバンドEpic 45の2ndアルバムです。その他の作品は聴いていないために単純な比較はできませんが、クリアな音のギター・フレーズにやわらかな電子音やエレクトロニクスを駆使したアレンジメントが交錯する繊細で透明感あふれるピュアな曲の数々は、センチメンタルな気分に誘ってくれる清々しくもクラシカルな印象というイメージがあります。美しい曲を展開してます。声も優しくても素敵です。程よいシューゲイザー風味とアンビエント感覚のミックスはあまりに音が美しく透けすぎて、自分の立っている位置さえ見失ってしまいそうな錯覚すら覚えてきます。ギターとエレクトロニクスがミニマル風に展開していく「I'm Getting Too Young For This」、まさに思い出を呼び起こすようなノスタルジックなメロディーの「Programmes for Schools」、深いディレイのギターとストリングが溶けるように絡む「You Said Nothing」、トリップ・ホップの要素を取り入れてちょっと実験的に演じてみた「Barn Diversions」、タイトルに象徴されるような憂いを帯びたギターの音色が印象的な「Where the Holidays Went」、まさにタイトルとおりに冷え冷えとしたシンセとギターが宙を舞う「Sculpted by Winter」、波打つような音にパーッカションがアクセントを副える「The Water Tower」、ギターのアルペジオの背後を電子音が駆け回る「These Dead Years」、クラシカルでアンビエントな響きのピアノがメインの「Against the Pull of Autumn」、乾いた音色のギターとラッパが不安感を扇動するような「Where to Now, Captain?」、シンプルなギターのリフレインにストリングがモノクロームの色彩をかぶせていく「Secret Maps of England」、ライトネスなシューゲイザー・サウンドの「River Traffic」まで、まさに心象風景のサウンド・ポートレイトといった感があります。極めてシンプルなサウンド・デザインなのですが、音の一つ一つに込められた想いのようなものが粒子となって出てくるといった印象でしょうか。。。。。?

試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/640528/summary.html

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不条理音盤委員会 337 Clear Horizon 「CLEAR HORIZON」
- 2006/04/04(Tue) -
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UK・ブリストル出身のAvant-NoiseユニットFlying Saucer Attack のメンバーである David Pearce がアメリカ・オハイオ州出身の女性ソングライターJessica Bailiffとコラボレートした作品をClear Horizon名義で発表したセルフ・タイトルのアルバムです。ネットでこのアルバムに関しての情報を検索してみると、二人が共にスタジオに入って共同作業をしたというわけではなく、互いに音の素材をメールで提示しては各々が加工して返信するというメール・アートの形式で生み出されたもののようです。一聴して理解るようにサイケデリックあるいはアシッド・フォークの強い影響下にある音で、まるでAmon DuulⅡ+Slowdiveといった非常に刺激的な音に、さらにそれを増幅させるかのようなエレクトロニクスとまとわりつくというこういった音が好きな人にはたまらない作品に仕上がっています。小刻みなカッティングを繰り返すアコ・ギにタイトル通りに波と風を思わせるSE風の電子音が絡む「Watching the Sea」、不安感を煽り立てるような重層的なギター・ノイズの壁が印象的な「Death's Dance」、アコースティックな音の中にJessicaの虚ろな声が響く「For Days」、エフェクターを駆使したミニマルなコードが虚無的な音響空間を創出する「Sunrise Drift 」、神経に突き刺さるような痛みを伴ったノイズの中でDavidの声が漂う「Millenium Blues」、シャーマニティックな雰囲気すら感じる「Distortion Song」、このアルバムの中では一番シンプルなアコ・ギの弾き語り風の「A Child's Eyes」、ひたすらノイジーでスピリチュアルな音塊に終始する「Dusk」、 微かにガムランの香りもするエスニック的なサウンドを背景にJessicaの声が宙を舞う「Open Road」まで、心の奥底まで浄化してくれるような深遠で清冽な、まるで白日夢の如きアルバムだという気がします。それにしてもこのコラボは単発的なものなのかどうか知りませんが、こういった偶発的に生まれるファンタスティックな音世界に一度足を踏み入れるとなかなか脱却できませんね(笑)。

試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/603888/summary.html

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不条理音盤委員会 334 L'Altra 「Different Days」
- 2006/04/01(Sat) -
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シカゴをベースとして活動している音響系ユニットのL’Altraの3枚目のアルバムです。前作まで参加していたリズム隊が脱退したために本作ではLindsay AndersonとJoseph Costaの男女デュオとして再出発し、Telefon Tel AvivのJoshua Eustisをプロデューサーに迎えて、以前からの彼らの特徴だったハーモナイズされたヴォーカルを強調し、また多少エレクトロニクスの比重が増えているような気もしますが、本来の持ち味である霧の中を漂っているような美しく静かな流れるような映像的な音世界が広がっていきます。ストリングとピアノを効果的に配した「Sleepless Night」、チープな打ち込みとアコ・ギとマリンバ?の短いフレーズが延々ループする「 It Follows Me Around」、シューゲイザーのエレクトロニクス・ヴァージョンのような「Better Than Bleeding」、フレンチ・ポップにも通じるような清冽な音とLindsayの囁くような声が耳に残る「Bring on Happiness」、2人のハモるヴォーカルとリズム・マシーンの組み合わせが妙に切ない気分になってくる「So Surprise」、柔らかな感触のあるギターのフレーズに聴き覚えがあるような「Mail Bomb」、神々しい感じもあるLindasyのヴォーカルを多重録音した「There Is No」、インダストリアル的なサンプリング音を従えたワルツ風の「Different Days 」、ギター、ピアノ、エレクトロニクスの交錯する中を切なげで哀しげな声が中を漂うような「Morning Disaster」、アンビエントな感覚を保った透明感あふれるサウンド・スケープを演出する「A Day Between」まで、ついつい涙がこぼれてしまいそうな叙情的な世界が展開されていきます。秀逸なジャケットと共に心にしみじみ染み渡るような作品だと思います。

試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/653655/summary.html

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不条理音盤委員会 307 Pram 「Dark Island」
- 2006/02/22(Wed) -
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気だるい女性ヴォーカルに弱い片桐です……(-。-) ボソッ。
イギリス・バーミンガム出身のRosie Cuckston、Matt Eaton、Sam Owen、Max Simpsonの4人組のポスト・ロック~音響系ユニットのPramが2003年に発表した7枚目のアルバムです。初期の作品ではクラウト・ロックに通じるプログレっぽいアプローチやジャズ風のテイストを散りばめたサウンドでしたが、徐々にエレクトロニクスの使用度が高まり、同時にサイケデリックな要素を組み合わせた実験的な浮遊感のある独特の音で親しみやすくポップなメロディーを奏でるといった脱力系へと変身していきました。またRosie Cuckstonのアンニュイなヴォーカルが絶妙にブレンドされているといった点でも聴きごたえがある作品だと思います。隙間だらけのギターとベースを背後に奇妙な電子音(テルミン?Arp Oddesay?)が流れる「Track of the Cat」、 トランペットをフューチャーした「Penny Arcade」、ヴァイヴとギターが重層的に音を重ねる中でRosieが気だるく歌う「The Pawnbroker」、ちょっと昔のキャバレー・ソングのような雰囲気が漂う「Paper Hats」、トランペット、アナログ・シンセが猥雑なムードを演出する「Peepshow」、中近東的なサウンドを使った極上のサイケ・ナンバー「Sirocco」、トイ・ピアノや玩具の太鼓?それに単音のギターの呟きを背景にした奇妙な童謡風の「The Archivist」、古風なシンセ音にスティール・ギター?マリンバ?を従えたスローなヴォーカル・ナンバー「Goodbye」、メロトロン?をはじめとする正体不明の音がいくつも組み合わされた「Leeward」、不思議なループ・サウンドにのせてちょっとトロピカル風味の「Distant Islands」まで、モノクロームながらも迷宮に入り込んだような不安感と眩暈感を抱かせる作品に仕上がっているのではないかという印象があります。以前紹介したMeret Becker「Nachtmahr」に共通するようなアンビエント・ゴシック的な雰囲気も感じます。

試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/571098/summary.html
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不条理音盤委員会 287 Languis 「Four Walls」
- 2006/02/02(Thu) -
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チェーン・スモーカーの片桐です……(-。-) ボソッ。
mattsmoodさんのBlogでも紹介されていたLanguisの「Four Walls」です。アルゼンチン出身(現在はL.Aに移住)のMarcos ChlocaとAlejandro Cohenの2人が紡ぎだす音はシューゲイザー・サウンドとポスト・ロック的なエレクトロニカ・サウンドが融合した絶妙な世界を展開させています。繊細なインディー・ギター・ポップのエッセンスを美しいフィードバック・ノイズと柔らかな電子音で包んだこのアルバムは単なる80’sエレポップ・リヴァイバルにとどまらない浮遊感あふれる音響世界を繰り広げているような気がします。アシッド・ハウス風のノイジーなビートを背景にキラキラとしたシンセの音が絡んでいく「Asllep」、The Farm、Rideといった名前が思い浮かぶ「Never Now」、サイケデリックな電子音に静かなギターのコードが絡む「Slide Of The Road」、アンビエント感覚(The Wooというグループを思い出します)あふれる「Simple Thought」、一風変わったビートにシューゲイザー的なサウンドが絡む「Turning Point」、フィードバック音の壁が層を成す中で漂うようなヴォーカルが印象的な「Constellations」、クラシカルな音の背後に小刻みな電子音が挿入される「Morningside」、アンビエント・テクノ+フィードバック・ノイズの美しさが際立つ「Locked In Circles」、タイトル通り子守唄にも通じる柔らかな音を使った「Even When You Sleep」、オリエンタルな雰囲気も漂う「Chained To Always Changing」まで、それぞれの音だけ聴けば結構エッジが鋭いと思うのですが、そういった様々な音が組み合わされた相乗効果として流れ出てくる音はまろやかとしか言いようがない摩訶不思議なアルバムです。この声が誰かに似ているな、と思ったら元YMOの高橋幸宏氏でした。

試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/622752/summary.html

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不条理音盤委員会 280 Thievery Corporation
- 2006/01/26(Thu) -
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気分は音響系というときがあります。音響系というジャンルでもいろいろとあるのはご承知の通りで、アンビエント系やエレクトロニクス系、そしてラウンジ系とその時の気分によって音盤を選ぶのもまた楽しいものです。ワシントンD.Cを拠点に活動を展開しているRob Garzaと Eric Hiltonの2人組のユニット Thievery Corporationが2002年に発表したこの「The Richest Man in Babylon」は不思議な音響空間に聴く者を導いてくれるような気がします。打ち込みとサンプラーを駆使した濃密で贅沢なダブといった様相なのですが、フューチャー・ジャズに通じるようなインテリジェンスな香りも漂わせているといった感触があります。ゲストのEmiliana Torriniの涼しげなヴォーカルの「Heaven's Gonna Burn Your Eyes」から始まり、中近東風ダブ・サウンドの「Facing East」、サウンド・システム風のダブの「The Outernationalist」、シタールを配したインド風の「Interlude」、タブラとエレクトロニクスの相乗効果でサイケ色が濃い「Omid (Hope)」、ソウルっぽいブラスが聴かれる「All That We Perceive」「Liberation Front」、AOR風のサウンドにシタールがかぶる「Un Simple Histoire (A Simple Story)」、アフリカっぽいヴォーカルとフラメンコ調のギターの組み合わせがDeep Forestを連想させる「Meu Destino (My Destiny)」、アフロ・キューバン色が濃い「Exilio (Exile)」「The Richest Man In Babylon」、ハウス・ビートにShineheadアジテーションのようなトースティングがのる「From Creation」、強烈なダブ・サウンドの「The State of the Union」、切なさを感じるジャジーなヴォーカル・ナンバーの「Until the Morning」、浮遊感あふれる「Resolution」まで、サウンドそのものは人工的な要素が強いのですが、各曲でフューチャーされているヴォーカル(サンプリング?)の強烈な声が、ややもすれば浮き足立ちそうで軽薄な印象を与えてしまうようなこのアルバムの要所を締めているような印象もあります。

試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/542227/summary.html

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不条理音盤委員会 274 Stars 「Nightsongs」
- 2006/01/19(Thu) -
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21世紀のNew Orderと一部では称されているアメリカ出身ながら、現在はカナダに活動の本拠を持っているStarsが2001年に発表した1stアルバムです。このユニットはThe Smithsのカバー「This Charming man」の極上のカバーで一躍有名になりましたが、基本的にフォークトロニカとNWの中間的な位置を占めるような、軽い打ち込みを交えたアコースティック感覚のサウンドでドリーミーなメロディーを奏でるといったその方面の筋(自分も当然含まれます・・・笑)にはキラー・チューンに等しい作品に仕上がっています。呟くようなヴォーカルとアンビエント・トランスのような「Counting Stars on The Ceiling」から始まり、A&Mサウンド風にブラスをフューチャー(サンプリングですが)した「My Radio(AM Mix)」、シンプルな電子音を背景に男女のヴォーカルが交錯する「Going,Going,Gone」、ギター・ポップの名曲をハウス風にソフトにアレンジした「ThjsCharming Man」、UK-Popぽい「On Paek Hill」、やはりブリティッシュ感覚の哀愁系メロディーの「International Rock Star」、アコ・ギと電子音のミックスが心地よい「Very Thing」、ちょっとノイズっぽいエレクトロニクス音と優雅なストリングの組み合わせが不思議な雰囲気の「Write What You Know」、チープなテクノ風ポップの「Tru」、サイケデリックな味わいも仄かに感じる「Better Be Heaven」、微妙にノイジーな味つけも加味された「Liar」、クラシカルなピアノを全面に打ち出したスローなバラード風の「Tonight」、初期XTCやDevoの名前が浮かぶ「Toxic Holiday」、AM Mixよりはアンビエント・ハウス風に大きくシフトした「My Radio(FM Mix)」まで浮遊感あふれる音に浸れるアルバムだという印象があります。イメージとしてはNew OrderというよりはSaint Etienneに近いような気もしますが、エレクトロニクスの使い方という点では類似点もありますが、やはり音作りにうかがえるメランコリックでクールな視点はNew Orderと相通じるような気もします。全く個人的な感想なのですが、このアルバムのジャケットは女性だけの写真にして欲しかったですね(笑)。

試聴音源はこちらから
http://www.mp3.com/albums/469301/summary.html
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不条理音盤委員会 273 The Ecstasy Of Saint Theresa
- 2006/01/18(Wed) -
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チェコ出身の音響系ユニットのThe Ecstasy Of Saint Theresaが2002年に発表した3rdアルバム?です。オリジナル盤はもうちょっと前に出ていたと記憶しているのですが、チェコ国内での流通に限定されていたということもあって入手しにくかったのですが、このアルバムからはUKでもリリースされるようになりました(自分もUK盤です)。Muteから発売された過去音源の4枚組のBox Set「4B4」ではMy Bloody ValentineとWireが交錯したような空間を埋めつくすようなノイズ系のサウンドで、シューゲイザー・フォロワーの一つという印象が強かったのですが、徐々にその音楽性をアンビエント、エレクトロニカ方面にシフトしていったようで、電子音を全面的にフューチャーして制作されたのがこの「Slowthinking」です。単音の電子音と呟くようなヴォーカルにノイズが切りこんでくる「Sychro」から始まり、スイング風のサウンドと奇妙なコラージュが融合した「Local Distortion」、吐息のような電子音が気になる「I’m (Not Really) Optimistic」、Wireのような音響実験的な小品「Miss Underloops Ⅰ」、タイトル通りにベースの音がフューチャーされた不安な感覚を煽るような「Bass 2」、広がりを感じさせるエレクトロニカの使い方が効果的な「Good At Frost」、ボサノヴァ+電子音といった趣きの「Plain.Com」「Happy R」、戦前のキャバレー・ソングを現代的に再構成したような「Than I'd Have Less Time For Myself」「www.eost.pluto」、ゆったりとしたヴォーカルの背後を自由に音が駆けめぐるといった感触の「Sensor」までオーガニックな手作り感あふれるサウンドに仕上がっているというような気がします。単純にポスト・ロックとかエレクトロニカというジャンルに拘束されずに、特に後半の曲で顕著なようにノスタルジックな雰囲気も併せ持った、極楽的極致のアルバムだというような気がします。

公式HPはこちらから(試聴もできます)
http://www.eost.cz/disko.php?cd=slowthinking


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