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不条理音盤委員会 690 Lizzy Mercier Descloux  「Mambo Nassau」
- 2011/07/14(Thu) -
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80年代NYのアンダーグラウンドなシーンで咲いた仇花とも言えるフランス人Lizzy Mercier Desclouxさんが81年にリリースした2枚目のアルバムです。
Patti Smithとも親交があった彼女の作品はファンクを軸としながらもNo Wave的な感性を大きく取り込んだモノが多く、下手ウマなヴォーカルと先鋭的な音、そしてアフリカンやファンカラティーナといった要素をミックスさせた独特の風味を持つもので単純なポスト・パンク的な音というよりはNo WaveでありながらNew Wave(何じゃ、そりゃ)といった感のある極めてモノクロームなカラフルさ(どういう意味合いぢゃ)といった印象があります。
このアルバムはNWの拠点とも殿堂とも称されたバハマのコンパス・ポイントで収録され、共同プロデューサーとしてファンク~レゲエ方面の達人Steve Stanley、バック・アップとしてこれまたコンパス・ポイント独特のキラキラ・シンセを弾かせたら天下一品のWally Badarouを招いての自由奔放なLizzy ワールドが展開されています。
アフロ風の男性コーラスと鳴り物系パーカッションを従えてLizzyさんがわめき続ける「Lady O K'pele」からスタートして、鋭利なギターのフレーズが繰り返される、ダブっぽい「Room Mate」、カリプソ+ファンクといった雰囲気の「Sports Spootnicks」、骨太のベース音に様々な音が重ねられていく「Payola」、ニーノ・ロータの曲をトイ・ポップ風にカバーした「Milk Sheik」、Kool & The Gangの名曲を賑やかにカバーした「Funky Stuff」、レゲエ+ファンクをミックスさせたリズム感覚が楽しい「Slipped Disc」、インチキっぽいジャズ風味の「It's You Sort Of」、Zouk初期を思わせる陽気なカリブ海的なサウンドのインスト曲「Bim Bam Boom」、マンボというよりはルンバに近い「Five Troubles Mambo」まで、とにかくやりたい放題といった印象もあるアルバムに仕上がっています。とにかく大半の曲では歌うというよりは喋っているような感じなのですが、彼女のコケティッシュな声の前ではどれだけエスニックな音を導入しようとも抗えない不思議な魅力があります。まさにストレンジとしか言いようがない楽曲なのですが、そこはかとなくNYぽいドラム(Bill Laswll~Materialっぽいような気もしますね)がコスモポリタンを自認していたLizzyさんらしいという気もします。
このアルバム後、ジャズやアンビエント風のアルバムを何枚か作った後に、画家として制作活動に勤しんでいたLizzyさんでしたが、2004年に癌で亡くなっています。ある意味生まれるのがもう少し遅かったらかなりの人気を博していたことでしょう。
現行のCDではボーナストラックを加え、ジャケも変更されていますが、やっぱりオリジナルのジャケットの方がいいですよね。。。。。?
試聴音源はこちらから
http://www.amazon.com/Mambo-Nassau-Lizzy-Descloux/dp/B0000TEUG6





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不条理音盤委員会 683 Galena  「 Oficialno zabranen」
- 2011/02/14(Mon) -
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と、いうわけでGalenaさんの2010年の3枚目のアルバム。
この人が出てきたときにここまで売れるんかいな?とか思っていたのが本音で、それでもEmiliaの尻出しCMの一番最後にちょろっと顔を出したのを見た際には結構イケるかも?と根拠もない自信を持ったりもして、スイカのPVでやっぱりええじゃん!とか割と片桐的には揺らぎが多かった人なのですが、あれやこれやといううちにPaynerのヒット・コレクションに毎回顔を出す常連になってしまい、今やPolinaやIanicaといった同期より一歩も二歩も抜きん出た存在になってしまいました。
このアルバムでもそんな絶好調感満載のGalena流Pop Folkワールドが展開されています。
冒頭に持ってくるのは自身の表れなのか、かなり濃密で官能色が強い「Neplatena smetka」から始まり、キュチェック風味のR&Bといった「Dqvola sega me kara」、アレレ~レレの掛け声も悩ましげな「Znam diagnozata」、チュルキー色が濃いサウンドの中でMalinaさんとGalenaさんが楽しげにデュエットする「Mnogo sladko」、バルカン歌謡ながらファンク風のリズムも感じられる「Nestastnica」、再度登場したMalinaさんとラッパーのFatih Urekさんも加わった賑やかなパーティ・ソング「Moi」、疾走するトライバルなビートが心地よい「Za posledno」「Oficialno zabranen」、フィドル風のヴァイオリンとコロコロと転がるようなピアノのフレーズをフューチャーした切なげなバラード(色気不足の感あり)の「Losha li sam」、フィルターをかけたシャララ・コーラスやラップといった荒技も飛び出すレゲトン・タッチの「Na dve golemi」、バルカン歌謡+R&Bといった雰囲気の「Na liniq」、民謡風のメロディーとレゲエぽいリズムの組み合わせが対象的な「Edna celufka」まで、かなり勢いを感じるプロダクションのもとでのサウンドワークの中でGalenaさんが自由奔放に歌っているようなイメージを覚える一枚になっています。最近の他のPaynerの歌手や旧ユーゴ方面のTurbo Folk歌手のアルバムのようにユーロダンスを視野に入れた音作りにはなっていますが、安易にトランスやテック・ハウスに走らないでかなりChalgaっぽい部分を残している点もまた個人的には好印象です。
望むらくはEmilia師匠のようにもう少し声に色気があったらな~とか高望みしてしまいますが、これからもこの勢いを持続させてもらいたいものです。





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不条理音盤委員会 672 Polina 「Nyama Druga」
- 2011/02/11(Fri) -
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お姐ちゃんシリーズの第4回目。テーマは「どうせ私は拗ね坊やねん!」です。
Polinaさんと言えば、ブルガリアのPop Folkの歌手で1stアルバムが好評だったのにもかかわらず、Paynerに冷遇されているとか、自らのBlogで喚いていたり(成りすましという説もあり)、同期のGalenaと仲が悪かったりとPop Folk界名物のスキャンダルまみれの方なのに、それでいて美人という稀代の方なわけですが、そういう風聞が直撃してかシングルカットされた曲をリリース直後にJuliettaに思いきりパクられてしまったという曰くつきの持ち主だったりします。
そういった逆風(?)を乗り越えてリリースされた2ndアルバムがこの「Nyama Druga」で、Polinaさんの持ち味である伸びやかで艶のある歌声を堪能できる一枚となっています。
電子音とダルブッカが華麗に舞い踊るエスノ・トランス調の「Obichah Te Do Poluda」から始まり、端々に中近東風の半音階が含まれている歌メロを軽やかに唄う「Demonichno」、ロマンティックなイントロからR&B風に展開する「Ne Moga」、哀愁漂うフレーズのリフレインが印象的な「Ne Mozhesh Da me Spresh」、問題のパクられ曲というか、Nik Kershawの「The Riddle」を剽窃したとしか言いようがない「Seluvay Me」、エレクトロ・ビートが炸裂するユーロダンスな「İstinska」、チュルキー+バルカン歌謡風味がたっぷり楽しめる抜群のノリノリ感が楽しい「Nyama Druga」、ピアノとギター+ストリングを効果的に配したミディアム・テンポの「Priyateli Zavinagi」、ちょっと残念なメインのロック・バラードからエンディングは華やかなさを伴って盛り上がっていく「Ne Si Otivay」、リズム・トラックは絶対「Esena Mono」のダンスVerを意識したようなトライバル・テクノ・ポップな「Jadni Za Lubov」、Gloriaの某曲にどことなく似ているという評判の「Ne Govori」まで、ユーロ・トランスを基盤とした安易な音作りという面をさしおいても、サビの殆どがかなり覚えやすく、またPolinaさんのストレートな歌い方と透明感のあるクセのない声のせいもあってかなり聴きやすいといった印象があります。
もっともそのストレートさというかピュアっぽい部分が逆に欠点となってGalenaに差をつけられているような気もしますが。。。。。滝汗。







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不条理音盤委員会 681 Dale Bozzio 「Riot In English」
- 2011/02/08(Tue) -
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お姐ちゃんシリーズの第3回目。「元々蓮っ葉だから何をやってもええねん!」。
Dale Bozzioさんと言えば、元プレイボーイ・クラブのバニーガールで、米国版Playboyのグラビアも飾ったエロエロな人でしたが、突如としてFrank Zappa Bandに姿を現し「Joe’s Garage」でMary役に抜擢と同時にそこで太鼓を叩いていたTerryと結婚。この夫婦に同じくZappa一門のWarren CuccurulloやPatrick O'Hearnらが結成したのが Missing personsで、超絶なテクニックでポップを演じるという荒技とDale Bozzioの過激なエロ・ステージ・ファッション&ロリ声ヴォーカルで一世を風靡しましたのは記憶に新しいところです。
バンドの終結と時を同じくしてTerryと離婚したDaleさんでしたが、何ゆえかBozzioの姓を捨てずに活動を続け88年にPaisley Park Labelからリリースしたのがこの「Riot in English」です。国内盤では「Dale」という表記で一瞬誰かと思いましたが。。。。笑。
当時のヨーロッパのダンスチャートで好記録をあげた「Simon Simon」からスタートするこのアルバムは、トーキング・ヴォーカル風の「Giddi Up Baby-Be-Mine」、Missing Personsの曲をシンプルに翻案したような「Overtime」、Princeが曲を提供した美メロのエレクトロニクス・ファンク「So Strong」、ラップ(めちゃ下手くそですが。。。)もフューチャーしたミドル・テンポのディープ・ファンク「Love Is Hard Work」、Men At Workの「Down Under」のリフをパクったような「Riot In English」、いかにもプリンス一派といった感じの安直なコーラスとシンセやピアノソロが聴かれる「He's So Typical」、後半に殿下のモノマネ?をしたような語り口調の声がミックスされる「Ouch That Feels Good」、割とストレートなポップン・ロールな「The Perfect Stranger」まで、どちらかというとPaisley Park独特の粘着系ファンク・ビートを前面に打ち出したアルバムに仕上がっているのですが、いかんせん歌メロやアレンジの大部分がどこかで聴いたことのあるような安直な焼きなおし感も強く、またDake Bozzioさんのヴォーカル・スタイルが全くMissing Persons時代と変わらないままのアヘアヘ声なので、その辺りの工夫が見られない分聴いているとちょっと飽きてくるという印象があります。
Dale Bozzioさんといえば「電気仕掛けのマリリン・モンロー」というキャッチフレーズだったのですが、残念ながら「ファンク仕掛けのマリリン・モンロー」にはなれなかったようです。





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不条理音盤委員会 680 Terri Nunn  「Moment Of Truth」
- 2011/02/06(Sun) -
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お姐ちゃんシリーズの第2回目のテーマは、「傍目から見ればどうあがいても自暴自棄!」。
Terri NunnといえばBerlinのヴォーカリストというイメージが強い人なのですが、初期のBelinではVirginia Macolinoという人がヴォーカルだったりします。この辺の時系列はちょっとわからなかったのですが、1stシングルの「A Matter Of Time」をリリース直後に彼女は一度Belinを脱退し、女優の道を歩んだようでいくつかのテレビドラマに出演しているようです(スター・ウォーズのレイア姫のオーディションに落ちたというのは有名な話ですね)。その後1年ほどでバンドに戻ってきてメインヴォーカルをつとめて、「Masquerade」「Sex(I’m…)」といった名曲を次々にリリースしていったのはご承知の通りです。彼らが一大転機を迎えたのが86年の「TakeMy Breath Away」の全米1位と4枚目のアルバム「Count Three &Pray」の大ゴケ(全米62位でした。。。涙)で、それによってBerlinは空中分解するに至ってしまい、Terri Nunnはさっさとバンドを脱退してしまうのですが、その後いろいろなアーティストでのコラボを経て91年にリリースした1stソロアルバムがこの「Moment Of Truth」です。
タイトなリズムに乗ったポップン・ロールな「Confession Time」から始まり、ウィスパー・ヴォイスやブルース・ハーモニカも挿入される「Desire Me」、聴き覚えのあるようなアメリカン・ロック的な歌メロ&コーラスが耳に残る「Once Upon A Time」、ファンクっぽいリズムを使用してフリーキーなサックスや自由奔放なギターソロをもフューチャーした「Moment Of Truth」、The Heartのような仰々しいハード・ロック風のバラード「Let Me Be The One」「Go Ask The Lonely」、ラップ調のヴォーカルにも挑んだ「89 Lines」、爽やかなウエスト・コースト風サウンドの「Who's Gonna Take You Home Tonight」、エスニックなマリンバ風のシンセ音も使われたディープなファンク・ナンバー「Too Far To Fall」、一方でシンプルなリズムが心地よいライト・ファンク的な「Fly By Night」、Berlin時代を彷彿させるニューロマンティックス的な「Diane」まで、確かにBelin時代のNW~エレクトロ・ポップとは全く異なったハード・エッジなギターを前面に打ち出したサウンドとファンクに視線を向けたリズムの導入といった女性ヴォーカル・アルバムであると言えます。もちろんこの路線はプロデュースとアレンジを担当しているプリンス一派のDavid Zの入れ知恵なのかもしれませんが、国内盤のライナーでTerri Nunn自身が「Berlinでは表現できなかった内面を露わにした作品」と言うほど、個性的に富んでいるというわけでもありません。事実このアルバムはさほど評価されないままに埋もれてしまったわけですが、彼女がBerlinで発揮していたようなコケティッシュさといった強烈な個性がこのアルバムではあまり感じられないことがその原因でもあるような気がします。。。。
試聴音源がなかったのでyoutubeから「Let Me Be The One」を。。。。



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無許可複製剽窃写真使用的音源発売告知節目
- 2010/09/01(Wed) -
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時は満ちた。。。
混沌を切り裂く7つの物語。。。
紡ぎだされる新しい世界への誘い。。。。
Rie a.k.a Suzaku Take Off!


と、勝手に告知してみた。
詳しくはこちらで(をいをい)。。。
http://tommy666.blog20.fc2.com/

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不条理音盤委員会 678 Rie a.k.a. Suzaku 「Suzaku」
- 2010/07/24(Sat) -


全国的に猛暑のようですが、その暑さと鬱陶しさを即座に吹き飛ばしてくれるような1曲を。。。。
Rie a.k.a.SuzakuとはリンクもしてもらっているTommy姐さんの愛娘だったりします。
言うまでもなく美人だったりして、そのうえ凄腕のギタリストだったりもします。
そんなRieさんの8月27日にリリースされるミニアルバムからのPVです。
一聴してわかるとおりにややハード・エッジなギターのフレーズがいくつか組み合わされた曲で、本人曰く、「羽をひそめて暗闇に閉じこもっていた鳥が、壁を乗り越え暗闇から空へと飛び立っていく姿を描いた曲なんです☆」と言うように、空間の奥行きを感じさせるメロディーを巧みに歌わせるギターワークや緩急の配置といった面でのバランス感覚が見事で、まさに「朱雀」のタイトルに相応しく、短いインストながらもスケール感あふれる仕上がりという印象があります。また最初と最後にほんのちょっとだけ挿入されるペンタトニック風の和風のスケールといったこだわりに、ただの早弾きとは違うんだ!という彼女の自己主張のようなものがうかがえるのではないかと思います。
何と言ってもPVでの弾いている表情が抜群によろしいというのは否定できない事実でありまして、これまでの積み重ねを踏まえて、ギタリストRieというものを存分に映像でも表現したという感もあります(弾き終えた後のふてぶてしい顔も含めてww)。
難を言えば、スローなパートでのリズムのボトムがちょっと甘いような気もしますが、その辺は曲のタイトル同様に飛翔していくであろうRieさんが克服していくべきものの一つでしょう。
曲の展開もさておきながら、いつキャミのストラップがずり落ちるかという点でもスリリングなPVなのでありました(をいをい)。

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不条理音盤委員会 674 Fergie 「The Dutchess」
- 2009/10/10(Sat) -
先日、あるテレビ番組であだ名芸人たる異名を誇る有吉が優木まおみさんを、「どこから見てもいいけど、全体としては中途半端」と評して、「62点」というあだ名をつけたことに激怒している片桐と言います。その理由はといえば、優木まおみさんが何となくいいなぁ~~と思っているだけなのですが。。。

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と、いうわけでBlack Eyed Peasのエロかわ担当で、3rd Album「Elephunk」から加入したFergieさんのソロアルバムです。キャッチ・コピーは「猿でもイケる、いい女。」というものですが、それに違わずめちゃキューティーな方でして(笑)、本人が歌う着せ替え人形をはっきりと織り込み済みのこの一枚、いろんな女の子を演じてみました~的な開き直りで一気にアルバム一枚聴かせてくれるハイ・エナジー(死語)な一枚です。
Will.I.Amもゲスト参加した豪華で賑やかな「Fergalicious」、Little Richardの「The Girl Can't Help It」をサンプリングした可愛らしい「Clumsy」、ハスキーな声が甘美な魅力をもった胸キュン系の「All That I Got (The Make Up Song)」、ヘヴィーなトラックに乗せてFergieさんが軽やかに歌う大ヒット曲「London Bridge」、 ファンキーな「Pedestal」、レゲエ・タッチの「Voodoo Doll」、ガーリー・ポップを歌うFergieさんとLudacrisさんのラップが交錯する「Glamorous」、名曲「Get Ready」が挿入された「Here I Come」、メロウで甘えっこ系ヴォーカルに思わずKOされてしまいそうな「Velvet」、アコ・ギとストリングを前面に打ち出した切なさ系の「Big Girls Don't Cry」、Bob Marleyの「No Woman No Cry」を下敷きにしたレゲエ風の曲が後半突如として爆裂してしまう「Mary Jane Shoes」、R&Bっぽく力の入ったヴォーカルを聴かせる「Losing My Ground」、ピアノとストリングの美しいバラード「Finally」まで、見事なまでのエンタメ路線突っ走りはまさに天晴れと言うしかないでしょう。あえてダサさを狙っているようなわざとらしいトラックの作りのWill.I.Amの確信犯的な所業でしょうし、そんな状況をハイ・テンションで楽しみながらFergieさんが演じているといった感じでしょうか?とにかくラップの間の合の手一つでパッと華やかさになるこの一枚、R&Bが苦手な人でもあっという間に引き込まれてしまうめちゃ感動的な一枚です。

やはりここは「Big Girls Don’t Cry」でしょう。



試聴音源はこちらから
http://www.amazon.com/Dutchess-Fergie/dp/B000H4VV52

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不条理音盤委員会 673 Carla Bruni 「Comme Si de Rien N'Etait」
- 2009/10/08(Thu) -
カレー部指令の話。
片桐のところには時々ある人からカレーに関する命令が届いたりするのですが、その張本人はある日味を整えるためのヨーグルトを誤って大量に入れてしまい(というか、滑り落ちたそうで…笑)、あまりの酸っぱさを修正しようと今度は苺ジャムを突っ込んでみたところ、妙にフルーティーな味わいになった微妙な出来栄えになったとのこと。
その人曰く、カレーは不味く作る方が難しいと。。。。名言かもしれませんが。。。。

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と、いうわけで元スーパーモデルのSSWというよりは現フランス大統領夫人という方が有名なCarla Bruniさんの3rdアルバムです。プロモーションのために洞爺湖サミットを欠席したというのがニュースでも流れてしまったこのアルバムはアコースティックで美しいフォーキー風に仕上がっていますが、前作が英語で歌われていて雰囲気がちょっと硬めだったのを考慮してか、デビュー作同様にフランス語で歌われていて、その言葉の響きも相俟ってとても普通ぽいオールドファッション的で上質のポップ・アルバムになっているような気がします。ピアノとストリングで奏でられるワルツ調の「Ma jeunesse」、Michel Houellebecqさんという作家の詩にフォークトロニカっぽい曲をつけた「La possibilité d’une ile」、かき鳴らされるギターと共に呟くように歌う「L’amoureuse」、ブルースのような退廃的な感じが漂う「Tu es ma came」、ハープ?のような音が印象的な優雅な曲「Salut marin」、フルートが活躍する古いフレンチ・ポップ的な「Ta tienne」、どこか切ない感じがしてしまう「Péché d’envie」、Bob Dylanのカバー(らしい)「You belong to me」、シャンソンぽい「Le temps perdu」、彼女のデビューのきっかけを作ってくれたというJulien Clerc作のロマンティックな「Déranger les pierres」、作為的にレトロなムードをまとわせた「Je suis une enfant」、ブルー・グラス風の「L’antilope」、やはりフォーク・ロック風の「Notre grand amour est mort」まで幅広い感覚の音と割とラフ気味ながらも細やかなアレンジの曲が続き、聴いていて結構和むのですが、最後の曲の「Il vecchio e il bambino」だけはちょっと重苦しいインスト曲になっています。この最後の「老人と子供」という曲はFrédérico Gucciさんという方の曲で、故郷の農地が潰されて工場へと変貌していくのを嘆く歌のようです。Carla Bruniさんが最後にどうしてこういう強いメッセージをもった曲を入れたかという理由についてMM2008-10月号では「実は夫とは違うリベラルな顔」と述べられていますが、それはある意味うがち過ぎかもという気もします。
何はともあれ、深夜にゆっくりとワインでも飲みながら聴きたいアルバムです。

「Tu es ma came」の音だけ・・・(さすがにPVは無理なんでしょうね・・・。)



試聴音源はこちらから
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2752614

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不条理音盤委員会 653 嶺川貴子 「Roomic Cube」
- 2009/08/03(Mon) -
先日某所で行われた「鉄道模型を走らせよう」というイヴェントを覗きに行ったのですが、夏休み期間ということもあってお子様連れの家族客が多かったのは言うまでもありませんが、その一方で妙に眼光が鋭い方々が異常に目につきました。そうです。いわゆる鉄道模型マニアといった方面の人たちかと思いますが、走っている模型を見るまなざしはまさに真剣そのもの。。。。お子たちがビビっておりました(笑)。

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と、いうわけで世間ではプリンセス・オブ・モンドとも呼ばれている嶺川貴子さんの96年リリースのファースト・フル・アルバム(その前にミニ・アルバムをリリース)です。バッファロー・ドーターのシュガー吉永さんややムーグ山本氏をゲスト&プロデューサーに迎えたその音はガールズ・ポップ+クラフトワーク的なキュートなメロディーが主体なのですが、そこにガラス細工のような繊細さと大胆なエレクトロニクスの使用によって、浮遊感に満ちあふれた自然体の流れるような冷やかさと独特のハート・ウォームな人工的な音とがミックスされた架空のラウンジ・パラダイス的な雰囲気を醸し出している作品に仕上がっています。
ウィスパー・ヴォイスとノイジーな音が交錯する摩訶不思議な子守唄(?)「Sleep Song」、リコーダーとポータブル・キーボードをフューチャーした「Fantastic Cat」、切れのいいギターと呟くようなベース、嶺川さんの声が寄り添ってファンタジックに響く「Never/More」、中間のコズミックなダブ風の音処理も心地よい「Klaxon!」、ルンバをチープなテクノで演じた「Wooooog」、とてもノスタルジックでメルヘン感覚あふれる「Dessert Song」、タイトルとおり破壊をイメージしたようなインダストリアル・ポップ・ナンバー「Destron」、27秒間のインタールード「Pop Up Squirrels」、シュガー吉永さんの得意のファンク風のカッティング・ギターに導かれるR&Bっぽい「666666」、大野由美子さんの操るテルミンが不思議な音響空間を演出する「Rainy Song」、ムーグ山本氏の操るターンテーブルから流れる音をコラージュした「T.T.T.」、フレンチ・NWを思い切り歪曲したような「Black....White」、最後を飾る(?)49秒の実験的な小品「More Pop Up Squirrels」まで、どこをとってもモンドとしか言いようがない万華鏡的な世界が広がっていて、嶺川さんの猫系ヴォイスと相俟ってハマる人はもう泥沼のようにハマって身動きが取れなくなってしまいそうな一枚になっていると思います。バッファロードーター色が濃いのかもしれませんが、それが欠点とならず嶺川さんの少々他人とはずれたような発想力と共にジャケット通りのパステル・カラーに滲んだような音が浮かんでは消え、浮かんでは消えていくといった印象があります。

試聴音源はこちらから。
http://www.amazon.co.jp/Roomic-Cube~-tiny-room-exhibition/dp/B000007275


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不条理音盤委員会 648 Katie Melua  「Call Off the Search」
- 2009/07/22(Wed) -
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正直に言ってしまえばKatie Meluaさんのこの1stアルバムはジャケット買いだった片桐と言います。
ブラックのレザー・ジャケットを着こんでアコ・ギを抱えたその姿と妙にエキゾティックな顔立ちとのアンバランスさが気になってしまったのでした。そして、流れてくる音とそのジャケット写真との落差にもちょっと衝撃的でした。もっとロックン・ロールなイメージを持っていたのはこっちの誤りで、アコースティックな響きにこだわったコンテンポラリー・ジャズとオーケストラル・ポップの中間のような柔らかい響きの音に、甘くとろけてしまうような清純な歌声。。。。彼女の歌声を聴いたエリザベス女王が最大級の賛辞を持って絶賛したというのが理解できるようなアルバムです。
メロウでムーディーなバックと対照的な彼女の舌足らずなヴォーカルのミス・マッチ加減も微笑ましい「Call Off The Search」、歌メロの転調加減が心地よいボサ・ノヴァ風味のジャズといった感じの「Crawling Up A Hill」、彼女のブレイクのきっかけとなった揺れ動く女性の心理を歌った「The Closest Thing To Crazy」、ブルースっぽい曲をわざとダルダルな調子で歌ったような「My Aphrodisiac Is You」、高音部の声の掠れ具合もまたたまらない魅力の一つである「Learnin' The Blues」、ほとばしる感情を必死に抑制しているかのごとき切ない歌声が耳に残る「Blame It On The Moon」、育った街であるアイルランドのBelfastを歌った、ほのかにアイリッシュ・トラッドを雰囲気をまとった彼女のオリジナル曲の「Belfast」、 ドラマティックに歌いあげる中にもあどけなさを感じる「I Think It's Going To Rain Today」、可愛らしい声でブルージーなメロを歌う「Mockingbird Song」、全てを包み込むような柔らかい感じがする「Tiger In The Night」、彼女が敬愛するというエヴァ・キャシディに捧げたという「Faraway Voice」、名曲を朗々と歌い上げるといった感のある「Lilac Wine」まで、これがデビュー作とは思えないほど堂々たる歌いっぷりのアルバムではないかという印象があります。曲によって少しずつ表情を変えていくニュアンスやメロディーに素直に従うような姿は健気にも感じられるのですが、聴いているとそのあまりにもの濃密さに息苦しささえ覚えてしまう瞬間すらあります。まさにジャケットでの彼女の視線のごとき強い意志をもった寸分の隙のない作品だと言えましょう。
でも、もうちょっと力を抜いてリラックスして制作してもよかったのでは。。。??などとついついお節介を焼きたくなるような一枚でもあります。

試聴音源はこちらから
http://www.amazon.com/Call-off-Search-Katie-Melua/dp/B000255LB6

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不条理音盤委員会 646 Cyrine Abd El Nour 「Leila Min Al Layali」
- 2009/07/05(Sun) -
なんかトレンド情報みたいなWebを見ていたら、もう来年のカレンダーの見本市が開かれるという話を聞いて、ずいぶん気が早いなぁ~と思った片桐と言います。
ま、流行を先取りするにはそのくらいの気負いが必要なのでしょうが、先を見据えることよりも現在を何とか生き抜くことしか考えていない片桐にとってはどうでもいいことなのですが。。。。ちょっと投げやり?(謝X100)。

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と、いうわけでレバノン美女軍団の最右翼(どういう意味で?)のCyrine Abdel Nourさんの2004年の1stアルバムでございます。
Cyrineさんは1977年ベイルート生まれというのですからそろそろ熟女と呼ばれる世代に入りますが、この方も元々はモデル出身で2002年には「Model Of The World」に選ばれました。並行して女優業も兼ねていてレバノン国内ではいくつかの賞も受賞しているCyrineさんなのですが、歌手としてはこのアルバムから本格的な活動に入ります。
打ちこみを駆使した浮遊感あふれるエレクロトニカ・アラブ歌謡「Ayish Bi Hayati」、ロマンティックなシンセを使ったアンビエントな雰囲気な「Inta Lameen」、伝統色が濃い「Ma Fiyi Shoufak」「Ma Fiyi Shoufak」、レゲエ風のリズムにディストーションをかけたギター(シンセ?)が交錯する「Haibib Al Alb」、フラメンコ調のアコ・ギも挿入されたドラマティックなバラード「Irguaa Tany」、前につんのめるようなリズムと歌メロが印象的な「Leila Men Al Layali」、エスノ・トランス炸裂の「Faker Fiyi」までアラブ歌謡の伝統を忠実に守りながら、それを大胆にエレクトロニクスで翻訳したような音が繰り広げられています。しかもCyrineさんが淡々と歌っていることとシンセの音が冷ややかなものをメインとしているために、この方面特有の粘着度が低く感じられて、割とサラリと快く聴ける印象があります。たまにはアンビエントなアラブトロニカもいいものだと思います。






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不条理音盤委員会 634 古内東子 「恋」
- 2009/05/07(Thu) -

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90年代に「恋愛の教祖様」とも称された古内東子さんの1997年リリースの6枚目のアルバム「恋」です。
とにかく徹底してリアルな恋愛の情景を生々しく描写する歌詞が軽いソウル~AOR風のサウンドにのって展開していく古内さんの世界なのですが、そこには恋愛至上主義を標榜しながらも割と冷めた視線が感じられ、理想と現実の差異をよく認識しているが故に、古内さんの世界に共鳴したOLさんたちが彼女を支持したのではないかと思ったりもします。このアルバムに限らず、古内さんの書く歌詞は、例えば松任谷由実さんや竹内まりやさんのような短編小説的なものではなく、Blogあるいは携帯小説に近いようなものを感じます。大きな設定はなく「私」と「貴方」との関係において、「私」の心情をストレートに吐き出している。そんな感じです。古内さんのちょっと気だるいような微熱系の声は好き嫌いが分かれるとは思いますが、この声にアーバン・ソウル的なサウンドが不思議とハマるような気もします。
転がるようなエレピの響きややホーンセクションの入り方がちょっと懐かしい響きの「悲しいうわさ」、ソリッドなサウンドが気持ち良い「ブレーキ」、小気味良いギターのカッティングとストリング・シンセが爽やかな印象も与える「大丈夫」、アコースティック・ピアノや古内さんのハモリ・コーラスが美しいしっとりとしたバラード「月明かり」、AOR風のお洒落なナンバー「そして二人は恋をした」、中西康晴氏のエレピ・ソロがフューチャーされた「ケンカ」、落ち着いた雰囲気のミディアム・スローな「どれくらい」、シャッフル調のリズムにメカニカルなハモンドを擬したシンセが被る「余計につらくなるよ」、アップ・テンポのファンク・タッチの「いそがないで」、跳ねるようなドライヴィング・ナンバー「宝物」まで至高のラブ・ソングが続きます。しかも、歌い方そのものにはあまり粘着質な部分が感じられないので割とすっきりとした印象もあります。サウンド自体もとても心地よいものなのですがきっちり作りこまれたのではなく、ラフな部分を出しながらのグルーブ感を生かすといった感じで、所どころに織り込まれた抜群のセンスの良さが古内さんの歌声をより引き出しているような気もします(本人も手書きのライナーに似たようなことを書いています)。

試聴音源はこちらから
http://www.amazon.co.jp/%E6%81%8B-%E5%8F%A4%E5%86%85%E6%9D%B1%E5%AD%90/dp/B00005G76T

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不条理音盤委員会 624 Jelena Karleuša 「JK Revolution」
- 2009/04/04(Sat) -

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はいはい、ブルガリア語もトルコ語も出来ません。おまけにセルビア語もクロアチア語も理解できません。でも、こっち方面のお姉ちゃんは大好きな片桐と言います。
と、いうわけでJKさんの登場です。セルビア出身のJKさんはもちろん女子高校生ではありません。
95年のデビュー以来着実&堅実にヒットを飛ばしてきたJKさんはどういうわけか所属レーベルを転々としていて一時期はGround Productionからもアルバムをリリースしていて、そのためか初期のアルバムは入手が困難なのですが、最近はCity Recordsに腰を落ち着けて活動しているようです。とはいうものの、ジャケ写真からも理解るとおりかなりの美女なのでそれにつきものの色恋沙汰も盛んで、確か結婚した直後に彼女の不倫が原因で離婚している筈です。更に現在つき合っているらしいサッカー選手がドイツに移籍したこともあって、ドイツに居住しているというゴシップ・ネタ豊富な女性でもあります。
意表を衝くように泣きのギターが炸裂するバラード風の「Tihi Ubica」から始まり、フラメンコの要素も取り入れたスペインのDavid BuisbalさんのカバーでもあるR&B風の「Testament」、フィルター・ハウスをパクった「Ko Ti To Baje」、エスノ・ロックの色彩が濃い「Saki」、中近東サウンドをたくみにダンス・トラックと組み合わせた「Casino」、哀愁メロに細かなギターのカッテイングが絡んでいくダンス・クラシック的な「Jedna Noc I Kajanje」、チュルキーな印象もある疾走するポップ・ナンバー「Pamet U Glavu」、ゲストのMarcusの濁声ラップが挿入されるエスノ・ファンクの「Bas Je Dobro Biti Ja」、インドのA.R.Rahmanの曲に中近東的なスパイスを加えたハイブリッドな「Mala」、さらにその曲をトランス・ポップに大胆にアレンジしたMala (Teatro Mix)まで、基本的なメロはいつものセルビア系歌謡路線なのですが、今回は割とクラブ・サウンドを意識したようなエレクトロを前面に出したものになっています。もっともこれは最近のポップ・フォーク界での一つの方向性のようなものになっていて、J-Pop同様にR&B化はますます進行していくものとは思われます。もちろん賛否両論ですけどね。。。
試聴音源は見つからなかったのですが、このアルバムはiTuneでもNapstarでもDL出来ます。

おまけは「Ko Ti To Baje」を口パクするJKさん(笑)のテレビ映像。



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不条理音盤委員会 623 Nil Karaibrahimgil 「Nil FM」
- 2009/04/03(Fri) -

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続いてのチュルキーなお姉ちゃんはセクシー系というよりは夢見る乙女系SSWのNil Karaibrahimgilさんだったりします。ま、乙女系といっても76年のアンカラ生まれですから、それなりの年齢なんですけどね。
Nilさんは自作曲を自分でプロデュースして、自分でマネージメントする才媛なのですが、その作る曲はストレートなポップ・サウンドでこれまた洋楽の影響も大きいのですが、PVで見られるような天真爛漫なキャラも相俟ってトルコ国内では人気を博しているようです。これは2003年リリースの彼女の2ndアルバムです。
タイトルとジャケから想像されるように、NilさんがFMのDJをやっているという設定で、チューニング・ノイズから始まる短い「Nil Fm Jingle」から始まり、フレンチ・ポップ風のボサノヴァ「Sinema」、中近東テイストのR&Bナンバー「Butun Kizlar Toplandik」、チュルキーなストリングとボサが組み合わされた「Gitme Yoksa」、巻き舌の発音も華麗にアラベスクに挑んだ「Akbaba」、やはりフランス製の映画音楽を彷彿させるバラード「Havuz Problemi」、マージー・ビートのロックぽいサウンドが微笑ましい「Bronzlasmak」、クラリネットのフレーズも軽快なバルカン風の「Ben Aptal Miyim」、スイング・ジャズのムード漂う「Vahdettin」、実験的な音も挿入された「Meyva Tabagi」、レトロな雰囲気をまとったワルツ「Bencil」、フォーク・ロック的なポップなナンバー「Cocukta Yaparim Kariyerde」までポップな曲が展開されていくのですが、Nilさんが作る微妙にヨーロピアンを意識したような音作りに聴き覚えというかデジャ・ヴ的なイメージを感じると思ったら、このアルバム何となく渋谷系ぽいんですよね。無論、当時のそういったバンドほどお洒落な感じや密室感が濃いわけでもないのですが、パステル・カラーのようなメロにプリティ系の歌声といったところに共通感を見いだせるような気もするので、勝手に「チュルキー・渋谷系」と呼ぶことにします(笑)。適度にエキゾなエッセンスが添加された洋楽。。。いかにも東洋と西洋の狭間で揺れ動くトルコといった国を象徴するようなそんな一枚かな?とも思ったりします。

彼女のHPで試聴できたりします。
http://www.nilkaraibrahimgil.com/

とりあえず「Sinema」の音だけ


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不条理音盤委員会 621 ZeeZee 「Waad Alaia」
- 2009/03/29(Sun) -
ソマリア沖で海賊船からの襲撃から商船を護衛する任務を与えられた護衛艦「さざなみ」と「さみだれ」。
この名前、ちょっと弱っちぃ印象を覚えるのは片桐だけでしょうか?
軍艦ではないので旧国名をつけるわけにもいかないのでしょうが、何となく気が抜けます(笑)。

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と、いうわけでエジプトのお姉ちゃんZeeZeeことZeeZee Adelちゃんの今年リリースの2ndアルバムをジャケ買い。
1987年生まれというのですから今年21歳と、レバノン美女軍団よりかなり若いZee Zeeちゃんなのですが、Rotanaレーベルの秘蔵っ娘としてアラブ世界一円でのシングル曲をヒットさせた勢いをそのままパッケージしたようなアラブ・アイドル歌謡路線を爆走中です。
ブラス風のシンセも挿入されたギリシャっぽいイメージも感じられる「Tab Wana Mali」、ピアノのフレーズが切なさ感を更に煽るロマンティックな「Ma' El Ayam」、R&Bの雰囲気もまとったメロディアスなバラード「Mateshghelsh Balak」、デジタル・ビートにのせたアラブ歌謡といった「Helm Wala Allem」、流行のロボ声まで使った(ちょっとだけですが・・・)「Waad Alaia」、ムーディーなサックスが仄かなエロティシズムに彩りを添える「Kol Elly Helemto」、アラブトロニカといったポップ・ナンバー「Yama Qoult Yama」、叙情的な「Ma Tegi Nennsa」まで、どちらかというとちょっとこじんまりとした印象のアラビックR&B的なアルバムのような印象がありますが、それもまた世の流れなんでしょうね。派手な曲が少ない分、叙情的なメロを歌いあげるといった感もありますが、何分若いこともあって色気があまり感じられないのは不満です(笑)。。。百花繚乱の感もあるアラブ歌謡世界の中でZee Zeeちゃんがこれからどのような路線を歩むのかちょっと期待していようかなと思います。

試聴音源はこちらから
http://www.imeem.com/karimmocka/playlist/1qHLj4KC/zeezee-waad-alaia-new-album-2009-music-playlist/



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不条理音盤委員会 609 Anna Domino 「Mysteries Of America」
- 2009/02/17(Tue) -
引き続き福引の話。
たまたま通りがかった盛岡市の商店街でも福引をやっておりまして、書店で岩手県の郷土史関連の書籍も運良くゲットした後に抽選会場に向かって、ガラガラ・マシンの取っ手をつかみ、まずは一度意味なく反対に回し勢いをつけた後でグルリと回した結果出玉は金色というか、黄色というか微妙な色の玉でした。「ガラガラ~~ン」と振られる鐘と「おめでとうございますっ!」という法被を着たお姉ちゃんの威勢のよい声。。。。
で、まるで某ファースト・フードの店員のように満面に笑みを浮かべたそのお姉ちゃんが賞品として手渡してくれたのは、ポケット・ティッシュ一袋(涙)。「そんなに派手に鳴らすなよ~~、そんなに嬉しそうに言うなよぉ~~」と心の底で叫びました。でも、福引は止められない片桐なのです。

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と、いうわけでCrepusculeの歌姫として名高いAnna Dominoさんの1990年の「Mysteries Of America」です。毎度のことながら彼女の作品はインテリジェンスとセンシティヴのバランスが程良く保たれた美意識あふれるものなのですが、この作品でもエトランゼである自分(東京生まれで、世界各地を転々として育ったそうです)の立っているスタンスの不安定さをそのままさらけ出したかのようなストレートな音と言葉が紡がれています。そして、今までそういった表現を通して自分のアイデンティティを模索してきた彼女の最終地点のようなアルバムになっています。事実、彼女はこのアルバムを最後に一度は音楽活動から距離を置いてしまうのですから、ここに織り込まれている様々な音楽的なエッセンスを聴いていると、エトランゼとして生きてきたAnna Dominoさんのプライベートな感覚の集大成的な意味合いも感じられてくるのです。
アコ・ギとハモンド・オルガンによるネオ・アコースティックな牧歌的なナンバー「Home」から始まり、ヨーロピアン感覚がエレガントな雰囲気の「Pandora」、タイトル通り、シャンソンを意識したような音作りも煌びやかな「Paris」、チープなリズム・マシーン?を背景に淡々と愛について歌う「Bonds Of Love」、中近東への憧憬を表現したような「Isn't That So」、古いヨーロッパの映画の挿入歌のような「Tamper With Time」、オールド・ファッション的なイメージの中で哀愁たっぷりに歌う「Bead/9.15」、アラブ=アンダルース的な要素を感じる「Oh Beautiful...?」、アコ・ギ、ダルシマー?、シンセの3者がそれぞれ独自のリズムを刻むなかで漂うように歌われる「Dust」まで、どこか吹っ切れたような潔さすら覚えるアルバムに仕上がっているような気がします。深いリヴァーブや多重コーラスといったヴォーカルの処理の点では従来の作品どおりの印象なのですが、アンサンブル面では一つ一つの音をクリアに響かせながらも、どこか点描を重ねたようなくすんだ音の世界を展開させているようにも思えます。多分、Anna Dominoという人のイメージからは一番遠いアルバムだと思うのですが、彼女が何を考えて、どのように表現したかったかという想いがたくさんつまっているとても素敵な一枚だと片桐は思うのです。。。。。。。

試聴音源はこちらから
http://www.amazon.co.jp/Mysteries-America-Colouring-Edge-Domino/dp/B0002WUGQ4


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不条理音盤委員会 608 Anna Ternheim 「Somebody Outside」
- 2009/02/15(Sun) -
個人的に福引があるとついついやってしまうというよからぬ傾向があるのですが、その一方で、5千円で1回という・・・あのガラガラを回すための必要十分条件を叶えるためにどんだけ買わせるのかと思ったりもするわけで、これが地元であればとりあえず注文していた本を受け取ればそのくらいにはなるわけなのですが、出先で福引があったりするともうこれは緊急事態になったりして、そんな場合に訪れていた町の書店やCD店では欲しいものがないケースが多く、それでも福引を引きたいという衝動には勝てず、靴下やTシャツなども買ったりして補助券を何とか集めて引いたものの、結局はポケット・ティッシュ一袋という結果に終わることが多い片桐と言います。
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と、いうわけでスウェーデン出身の女性SSW、Anna Ternheimさんの2004年のデビュー・アルバムです。全体がどことなく物悲しいトーンで統一されてはいますが、シンプルなメロディー・ラインと芯の通ったヴォーカル、それにギターやピアノの透き通るような響きのどれもが美しく、また非常にデリケートで繊細なものを感じます。それでいて研ぎ澄まされているというわけではなく、柔らかに聴こえてくるのがまた不思議なのですが、その原因の一つに英語で歌っているにもかかわらず、Annaさんの母国語ではないために独特なイントネーションからもたらされる翳りのような思慮深げな歌い方にあるのではないかとも思ったりします。
ボサノヴァ~ジャズ風のアレンジが光る「To Be Gone」、紡がれるように奏でられるギターの音色もまた心地よい「Better Be」、あえて声をくぐもらせて歌ったような弾き語り風の「I'll Follow You Tonight」、背後ではルンバっぽいリズムをカスタネット(?)が刻みながらも、メロディーは古いキャバレー・ソングを連想してしまう「Bring Down Like I」、挿入される奇妙なギターの音が耳に残る「I Say No」、タイトル通りフランスの某曲をついつい連想してしまう「French Love」、ちょっとアンビエントな音使いの中で、ややフリーに近いメロを歌う「A Voice To Calm You Down」、やはりボサノヴァのリズムながら力強さを感じさせるヴォーカルが聴かれる「Somebody's Outside」、切なげな心情を躍動的なサウンド(終盤はシュゲイーズしています)で表現した「My Secret」、ピアノとオルガン(?)の響きが静謐な雰囲気を演出する「Shoreline」まで、工場に機材を持ち込んで録音したというエピソードもあってか独特の反響を伴ったような奥深さのある音響空間の中を漂うが如くにAnnaさんの歌声が響いてくるという、非常に立体的なサウンド・スケープをもったアルバムに仕上がっています。ちょっとアレンジメントが似通っていて、その点が単調に思える気がしないでもないのですが、それを割り引いても素敵な北欧からの私信といった印象は十分感じられると思います。

「To Be Gone」のPVを。。。



試聴音源はこちらから
http://www.amazon.de/Somebody-Outside-Anna-Ternheim/dp/B000BM3Y8M


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不条理音盤委員会 607 Antonija Šola 「Anđele」
- 2009/02/13(Fri) -
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ジャケット買いでありんす。
クロアチアの女優兼シンガーのAntonija ŠolaさんはWikiによればドラマで売れっ子の女優さんらしいので、実際にどんな演技をしているかというのも非常に興味あるところなのですが、なんだかんだ言っても要は美人だからよろしい、という極めて安直な理由で全てを容認してしまうのであります。
ハード・ロック風のスローなナンバー「Zovem da ti čujem glas」から始まり 、哀愁のラテン歌謡「Anđele」、ソウル感覚をまぶした70年代ディスコ風の「Stradam」、Zard周辺のJ –Popを思い出してしまうような「 Neka bude zauvijek 」、ロマンティックでドラマティックに展開していくミディアム・ナンバー「 Nisam anđeo」、NWのコンピに入っていてもおかしくないような(Go-Go’sっぽい)「 Skidam te pogled」、息苦しさすら覚えてくる濃密なバラード「 Zabranjena pjesma (Volim te)」、Toše Proeskiさんと楽しくデュエットするアメリカン・ロック風の「Volim osmijeh tvoj」、タイトル通りに別れを感情を込めて歌い上げた「Adios」、レゲエっぽい曲にバルカン系のヴァイオリンを絡ませた「Reci mi please」と、いろいろ国内のコンテストに出場した際のエントリー曲やおそらくドラマの挿入歌といった感じのシングル・コンピのようなアルバムなのでかなりバラつきはありますし、ちょっとサウンド全体も毎度のエスノはもちろんのこと、ダンス・ポップですらないちょっとロック寄りのポップスといった感のある極めてオーソドックスな女性ヴォーカル・アルバムです。それなりに歌手としてのキャリアを積んでいるようですが、歌もあまり上手くないのでやはり女優さんの余技といったところでしょうか。。。ちょっと懐かしい感じのするアルバムです。

試聴音源は彼女のHPから
http://www.antonijasola.info/

「Volim Osmjeh Tvoj」のPV(映像悪・・・謝X100)



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不条理音盤委員会 593 ラジ 「ACOUSTIC MOON」
- 2008/10/20(Mon) -
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いろんなジャンルで音楽の再評価というか、再発が進んでいてかなりマニアックなものまで入手可能となった一方で、なかなかCD化されずにいて歯がゆい思いをするアルバムも多いと思います。
ラジこと相馬淳子さんもそういった一人でしょう。
彼女は多分アルバムを6枚出していると思うのですが、CD化されているのは1stの「HEART TO HEART」と2ndの「LOVE HEART」のみです。マクセルのカセット・テープのCMに吉田 美奈子さんの「Black Eye Lady」、大貫 妙子さんの「黒のクレール」と共にこの作品に収録されている「ブラック・ムーン」が使われて通称“黒の3部作”と呼ばれているだけに是非ともCD化を希望したいところです。元々YMOの高橋幸宏氏がサウンド・コンポーザーをつとめていたこともあって、ヨーロピアンな香りとエレガンスさが同居したテクノ風の色合いが濃かったラジさんでしたが、5枚目のこのアルバムではどちらかというとシティ・ポップスと呼ばれる音に変貌を遂げ、更にアレンジを井上鑑氏が担当していることもあって、ちょっと大人っぽい雰囲気の漂うハイセンスでお洒落で素敵なヴォーカル・アルバムに仕上がっているという印象があります。
キレのあるギターのカッティングが心地よい「ROSY BLUE」から始まって、夢のようなヴォーカルの多重録音で始まるヨーロピアン・ムードあふれる「紫苑」、井上鑑氏が手がけたストリング中心のインスト小品「アコースティック・ムーン」、今剛氏の流れるようなフレージングのギター・ソロも印象的なミディアム・チューン「ストーミー・ナイト」、軽いラテン・タッチの名曲「ブラック・ムーン」、ボサ・ノヴァ風のスロー・バラード「薔薇のグラス」、ちょっと歌謡曲ぽい歌メロをもった「Do you wanna dance」、サンバ風にアレンジされた軽やかな「パラダイス・ワイン」、土岐英史氏のサックスも愛い気にかつJazzyに響く「メモリー・スルー」、フュージョンを思わせる流麗なサウンド(中間の後藤次利氏のベース・ソロがこれまたかっこいい)の「パズル・ヌーン」、幸宏氏が提供したしっとりとしたバラードの「リラの日曜日」まで、めくるめくようなシティ・サウンドを従えてラジさんは決して押しつけがましくないチャーミングな歌声で楽しげに歌っているという感があり、すっと通り過ぎていく爽快な一陣の風のような清涼なイメージがあるのですが、時折感じるひんやりとした声の震わせ方に思わずハッとさせられる瞬間もある作品なのです。

4枚目のアルバム「Quatre」から(音だけですが。。。。)


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不条理音盤委員会 588 鈴木早智子 「Mode」
- 2008/09/28(Sun) -
最近はトワイニングの「ダージリン」を愛飲している片桐と言います。
大した理由はないのですが、ま、秋の夜長に読書したりなんやらをする時には珈琲よりも紅茶の方が気分的には勝っているかなぁ~という気がしただけです。珈琲は濃いめのストレートなのですが、紅茶の際には砂糖と赤ワインを入れてちとリッチなセレブを気取ったりもします。ちなみに赤ワインはチリ産です(安いので料理用に重宝なので)。

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と、いうわけでWinkでの相田翔子さんの相棒だった鈴木早智子さんがWink在籍中の1992年にリリースしたミニ・アルバム「Mode」です。どちらかというとWinkの時も現在も相田さんの方にばかりスポットが当たっているような気がするのですが、個人的には鈴木さんの方が好みです(爆)。
中華風のメロディーを印象的に使った「ラスト・ダンスは頬よせて」、シンセが大活躍するNW風テクノ・ポップ・ナンバー(作者の元Filmsの赤城忠治氏の趣味でしょう)「1999年の退屈」、アレンジの転調具合が微妙にスター・シップしている「ハリウッドな恋にして」 、ハワイアン~トロピカルなムードあふれる「最後の楽園」、インド風のフレーズも挿入されたロマンティックなバラード「TRANSFER」、ちょっとロックぽい「不実な仔猫たち」までWinkでのユーロ・ビートを駆使したダンサンブルなイメージとは異なったポップ・ワールドを展開しています。全体的に歌詞だけを抽出すればちょっと背伸びして大人の女を演じるというコンセプトのようですが、シンセやフェアライト(多分)を駆使したチープな音とのギャップが、そんな夢物語のような世界を一層引き立ててくれているような気がします。
ちなみにこのCD、105円で出先の大手中古店で入手しました(笑)。これだから中古店めぐりは止められません。
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不条理音盤委員会 585 Magda 「Spasi me liubov」
- 2008/09/11(Thu) -
文化財めぐりと称して、オフィスからの脱出に成功した片桐と言います。
最近、流行なのかどうかは知りませんが、お寺や神社でよくお姉ちゃんを見かけます。
奥州にも三十三観音を祀った寺院とか、それなりに由緒ある神社は少なくないのですが、そういうところでパツキンのお姉ちゃんが一人で参詣に来て、携帯で写真を撮っていたりするのはちょっと不思議な光景でもあります。
もちろん、片桐はナンパはしません(笑)。

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と、いうわけで、Pyner Musicの持て余され組ではないかと密かに危惧しながらКрилоさんと共に見守っていこうと思うMagdaさんの2006年の2ndアルバム「「Spasi me liubov」です。
「Sluchaen flirt」では割と清純派っぽいジャケットだったのですが、その間何があったのかは知りませんが(笑)、このアルバム・ジャケではタトゥー・シールまで披露するといったすっかりヤンキー姉ちゃんに変身しております。
哀愁系のメロディーと共に切ない歌声を聴かせてくれる「Хронична липса на любов」、ポップな歌メロを軽やかに歌う「След раздялата」「Невъзможно」、インディ・ダンス風にアレンジされたポップ・フォークも耳に心地よい「Желание」、クラの不思議なフレーズ(終盤ではジャズっぽい展開も。。。)とほのかなオリエント風味が印象的な「Любов на ръба」 、ドリーミーな展開に可愛らしさすら覚える(セルビアで誰かが歌っていたような記憶が。。。。)「Не мога без теб」、Gulsenをパクったようなアラビックな「Любовно постижение」、インド風味のヒップ・ホップ的なサウンドが斬新な(歌メロは普通ですが…汗)「Нали ти казах」、賑やかな音作りの「Дежурна лъжа」、 エスノ・トランス的なアレンジが施された「По пътя на греха」、ロマンティックなバラード・ナンバー「Спаси ме любов」、ロマ風ブラスの音も楽しげな「Точка на пресичане」、ルーマニアのマレーネ曲をカバーした味わい深い「Усмихната ме запомни」、中盤に収録されていた「Нали ти казах」をゴア・トランス的にリミックスした最後のトラックまで、決して他のPayner Music所属の歌手と比較しても遜色ないサウンド・ワークと安定した歌声を聴かせてくれていると思います。ただ、印象に残る曲がオリジナルではなく、他人のカバーという点ではちょっと残念な気もしますが。。。。
と、いうわけでEmiliaの次にMagdaを応援することにしました!

試聴音源はこちらから
http://www.bulgarvoice.com/index.cfm?page=musicAlbum&id=276

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不条理音盤委員会 584 Meg Baird 「Dear Companion」
- 2008/09/03(Wed) -
料理好きの片桐と言います。
ある人からさつまいものレモン・バター煮というものを教えてもらいました。
煮物というのは気軽に出来て美味しいのですが、ついつい目を離してしまうととんでもないことになるのは皆様ご承知の通りです。鍋に仕込んでちょっと部屋の片付けなんぞしていると台所から香ばしい香りが。。。そしてそれが焦げ臭くなった瞬間の衝撃の大きさ!気を取り直して鍋に重曹を入れて火にかけていたらそれも焦がしました(爆)。もう一度重曹を入れてやるかどうかは思案中。。。。鍋は放置中です(笑)。

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と、いうわけでアヴァン・フォーク界を代表する歌姫Meg Bairdさん (Espers)のソロ・デビュー・アルバムなのですが、これがまた泣きそうになるほどの感動的な美しさを兼ね備えたアルバムで、トラッド、カバー曲、オリジナルを問わず一貫した清々しさと透明感に満ちた曲が並び、聴いているものの心をたちまち浄化させてくれるような一大傑作に仕上がっております。とにかくアコースティックな音の一つ一つがまるでガラス細工のように緻密で繊細に響き、その中で清冽なMegさんのクリアー・ヴォイスでしっとりと歌われるだけで、もはやファンタジック。。。。正真正銘のクリスタル・サイケデリック(どういうんだ???。。。滝汗)なのです。
「Dear Companion」での爪弾かれるギターに続いてのMegさんの声で既に瞬間秒殺必死なのですが、ヴォーカルを二重に重ねた「River Song」、牧歌的な雰囲気のトラッド曲「The Cruelty Of Barbary Allen」、切なくなるような物悲しいメロディーをもったJimmy Webbのカバー曲「Do What You Gott Do」、ギターのアルペジオとアンビエントなシンセが幽玄さをも感じさせる「Riverhouse In Tinicum」、しみじみと心に響いてくる「The Waltze Of The Tennis Players」、白昼夢のように浮遊する声が魅惑的な「Maiden In The Moor Lay」、ケルティック・トラッドの香りも高い「Sweet William And Fair Ellen」、微妙にサイケデリックな印象もある「All I Ever Wanted」、アン・ブリッグスも演っていたという伝承曲「 Willie O' Winsbury」、冒頭のタイトル曲をアカペラでうたった最後の曲まで本当にシンプルで飾り気のない歌と演奏が淡々と続くのですが、そこに秘められた歌への想いと言うか、声の力というものがじわじわと染み渡ってくるのです。やはりこの手の音にハマってしまうともう脱け出せないと半ば諦めて夢見心地でフラフラしているのでありました。

試聴音源はこちらから
http://www.amazon.co.jp/Dear-Companion-Meg-Baird/dp/B000OLHGB6

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不条理音盤委員会 582 松田樹里亜 「Julia Ⅱ」
- 2008/07/02(Wed) -
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松田樹里亜さんが1995年に発表した2ndアルバム「Julia Ⅱ」です。
彼女の経歴は紆余曲折があって現在はハード・ロック風のサウンドなのですが、この頃は美貌の持ち主であるという点と高い歌唱力を生かしたいわゆるガール・ポップの先駆け的な音で人気があり、このアルバムもオリコンで最高7位を記録しています。ただ、彼女自身にとってはこの時期は自分でも否定したいようで公式HPでもリリース年度が紹介されている程度です。
ノイズ系のアルバムかと一瞬錯覚するような音が1分弱続いた直後に、ハイトーンのヴォーカルで一気に突っ走る「Rain」、パワフルなロック風のナンバー「泣き顔さえも愛しなさい」、詞・曲ともに彼女のオリジナルで、派手にオケ・ヒットが鳴り響く「Feel So Badもの足りない」、初期J-Popに特徴的な分厚い音の壁が懐かしさを覚える「負けないBroken Heart」、ライトなファンク風の「Undergrond Team」、テクノポップ風のシンセ・ベースとアグレッシブなギターが交錯する「いとしさに凍えて眠れない」、歌い上げるようなバラード・ナンバー「生まれたままの輝きみたい」、微妙にペンタトニックなアレンジが施された「NEVER MIND」、歌メロが渡辺美里の某曲に似ている(俗にパクリ)「MY RADIO」、伸びやかな歌声が心地よい「本日快晴」、Starshipのパクリのようなコーラスが入る「GET A GRIP」、ハード・ロック風の「瞳を閉じていても」まで、クリアーな声が存分に楽しめるアルバムなのですが、いかんせん曲とアレンジがJ-Popというか産業ロック的なもので、没個性的になっているのが残念です。ま、そういうところが彼女としても嫌だったようで、容姿ばかり注目されて曲をまともに聴いてもらえない(片桐のことやねん!)といった旨の発言もしてファンの物議を醸しだりもしていましたが、現在では様々なスタイルの要素を詰めこみんだオリジナリティな音で活動していますし、美貌も健在です(懲りないやっちゃ…汗)。
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不条理音盤委員会 581 Anna Banana 「大きな絵」
- 2008/06/30(Mon) -
某大手新聞社に片桐と同姓同名(もちろん、本名の方ですよ)の方がおられます。
時々その方の記事が全国面に載るときがあります。そういう日は必ず友人から問い合わせがあります。「転職したの?」と。。。。
ちなみに片桐真央でググると風俗関係のお仕事をされている方と「高校3年生。地元の女子校に通う、比較的おとなしい少女」という設定の小説の主人公がヒットします(笑)。

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と、いうわけで先日の地震で棚から落ちてきたCDの中にこのアンナ・バナナさんの「大きな絵」もありました(爆)。イタリア系アメリカ人の父と日系アメリカ人の母の間にカリフォルニアで生まれたアンナ・バナナさんなのですが、何の因果か来日してからモデルの仕事をしていた矢先に遊び半分でリリースした「甘蕉(ばなな)ケ丘-Banana Hill-」が意外にも小ヒット、それ以後何枚か(5枚?)アルバムを発表しているのではあります。ちなみにこのアルバムは1991年のリリースなので多分2枚目か3枚目。って、何でまたこういうCDを持っているかと問われても多分この「大きな絵」が出た前後に付きあっていたお姉ちゃんと顔が似ているからであろうとしか思えないのですが、その彼女は多分今でも武蔵五日市の定食屋の女房である筈なのではありますが、そういう私的なことはさておいて、このアルバムは都会ぽい打ち込み中心で派手さ満点のアレンジの歌謡ポップスで、その人工着色料のようなカラフルさは今聴いてみても決して色あせていないような気がしますが。。。。(自信なし)。
リゾート地で流れるているような偽エキゾ風の「.○♧×♡△※□(ヒパサタンキサィヤレ)」、ダルダルのラテン・ポップス「.Bamboula」、ドラマティックなシティ・ポップスといった感のある「.鳥」、コミカルな歌詞がゴージャスな音にのせて歌われる「Map(自分で書け!ちゅうの)」、アコースティックなバラード「.Here N' Now」、プログレシッヴ・ロックのようなシンフォニックでドラマティックなサウンドの「Big Picture」、S,Wonderの名曲をチープ・テクノでカバーした「Sir Duke」、グラウンド・ビートにのったバラード「Follow Me」、全然ファンキーではない、跳ねないファンク・ナンバー「Neptune」、郷博美の曲をトライバル調にカバー(コラージュしただけ)した「男の子女の子」、エスノ・ポップ風の「Garden Of Love」まで片言で舌足らずの日本語と、妙な響きの英語という一風変わった様相もあるちょっとロリータ寄りのヴォーカルがこれまた摩訶不思議なのではありますが、大半の曲をも作っているというメロディー・センスには光るものがあり、もっとアレンジをしっかりやればイイ線いっていたのに、これじゃあんまりだぁ~~と思ってしまうものの見事なまでの安易なプロダクションに嫌気がさしたのか、これ以降田島貴男氏のプロデュース参加で国営放送の「みんなの歌」でも彼女の歌が流れたりと、その頃一世を風靡した渋谷系の末席に名前を連ねていたのでしたが、いつの間にか消えてしまいました。
全く関係ないのですが、片桐と同じ年齢なので、今頃はすっかりいい小母ちゃんでしょう。
で、試聴音源なんぞあるはずもございませんと言いたいところなのですが、ようつべには一曲PVがエントリーされていたりするのではありますが、あまりにも音と画質が悪いので自粛しときます。

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不条理音盤委員会 577 稲葉喜美子さんに関しての2・3の覚書
- 2008/06/13(Fri) -
小さな街のレコード店には思いがけないものがあるんだよ、とその人は言っていた。
それで、街歩きの一番最後は必ずレコード屋だった。地方のレコード店は大抵レコード以外に時計や宝石やカメラも一緒に売っていて品揃えが多いとはいえなかったが、多分、その人はレコードを見ること自体が好きだったんだと思う。そして家に戻ってきてからはそんな風に買った際の「XXレコード」とか記されたビニール袋を丁寧に折りたたんで机の一番下の引き出しに大事そうにしまっていたのだ。
そういうわけで、稲葉喜美子さんのアルバムはそんな街先で買ったのだと記憶している。80年代中盤から90年代前半にかけて活動していた彼女のLPの全てを持っているわけでもないだが、その可愛らしくもちょっと掠れた独特の声で歌われるブルージーな世界の中で物語られる女たちの風景は極めてモノクロームに近いようなものだと今も思う。そんな重苦しい世界観からはよく山崎ハコさんと比較されているようで、実際ハコさんの夫である安田裕美氏がアレンジやアコ・ギでクレジットされていたりするのだが、ハコさんの歌がセンシティヴなものであるのに対して稲葉さんの歌はもっとストレートで、赤裸々だったり、辛辣だったりするような気がする。登場人物に仮託させた自分の想いや心情が剥き出しのまま音になっているのである。
一般的には4枚目の「朝未明」の人気が高いようなのであるが、個人的には2枚目の「燃えてそうろう」が好きである。何といっても自分の愛した男が死んで焼かれていく様を「燃えてそうろう」と歌っているのである。無に帰結していく姿を心に刻まんとする際に人はどんな風に思うのだろうか?と考えさせられる。シングル・カットもされた「川花火」のようにメルヘンティックな前半部から現実に引き戻されるような歌詞も好きであるし、淡々と切ない心情を綴った「電話」や何気ない風景を切り取った「願い事」といったシンプルな曲にも味わいがある。普通のニュー・ミュージック風からちょっとジャジーだったり、「夜汽車」のようにボサ・ノヴァっぽいリズムを借用したりと徐々にアレンジ面が変化していったのではあるが、その中心にあるいわゆる「情念」のようなものは失われてはいなかったように感じる。
「男のひとはからだ開かなきゃ 愛していると云ってくれないものらしい」と稲葉さんが歌っている「男のひとは」は彼女が高校生の時に作った曲らしい。その歌詞が実体験なのかあくまでも創作なのかは知る由もないが、そんな悟りきったような諦観がつまったアルバムは時代を経ても心に沁みてくるような印象すらある。



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不条理音盤委員会 566 Sandii 「Mercy」
- 2008/04/25(Fri) -
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ワールド・ミュージックのブームの真っ只中で発表されたこのアルバムは、当時世間では大絶賛されていたと思うのですが、個人的には???といった感もありました。無論サンディーさんのコケティッシュでセクシュアルなヴォーカルやDick Leeと久保田真琴氏のコラボによる汎アジア的なサウンドをベースにしたポップ感覚は見事なものがありますが、そのアジアの大衆音楽のエッセンスを何ゆえハウスやグラウンド・ビートと結びつけなくてはいけなかったのか?という疑問を覚えてくるのです。これをDick Leeがやった「Mad Chinaman」であれば、批判性や自虐性といった意味も付加されて面白いのですが、このサウンド・プロダクションはあまりに安易すぎるような気もするのです。ま、強いて言うならば資本の論理に基づいて要求されるワールド・ミュージックとしての商品性とそれに付随する先端性・差別性をアジア的なアイデンティティの具現化という隠れ蓑でくるんだ一種の踏み絵的な作品では?と思ったりするのです。異論もあるでしょうが、たまには脱構築的な見方で論じてみました(笑)。
いかにもDick Leeっぽいハウス風のセンスが光る「Mercy」、オリエンタルな雰囲気をあざとく強調し、これまたDick Leeの得意技であるラップ・ヴォーカルと日本古謡をミックスさせた「Sakura」、インドネシアの民謡を軽快なハウス仕立てにした「Ikan Kekek」、逆に超有名曲をダンドゥット風にアレンジした「Sukiyaki」、70年代ディスコ・サウンドを翻訳した感のある「Don’t Keep Giving」、グラウンド・ビートにのってエモーショナルにサンディーさんがシャウトする「Suriram」、ダンドゥット+ラップといった感のある「Hello」、メロウなミディアム・テンポのスピリチュアル・ソング「Cherir a Jamais」、このアルバムの中では一番異色な細野晴臣氏作曲のダークなエスノ・アンビエント的な「Water 4 A Barren Heart」、ケチャのサンプリングや童謡をメドレー仕立てにして汎アジア的な音で表現した「Ringo Oiwake~Antagata Dokosa~ Zui Zui Zuccolobashi」、ささやくようなアカペラの「Le Collinne Sono In Fiore」まで、ハイブリッド感あふれる音の連続なのですが、そのサウンド自体の古めかしさを差し引いてもどうも違和感を覚えてしまうような気がします。無論プロダクションそのものは完璧で一片の隙も見せないような緻密なものなのですが、逆にそのあまりにもの人工的な部分が気になってしまうのかもしれません。極端な言い方をすれば小賢しいような印象さえあります。そういった意味で冒頭で踏み絵的な作品と述べたわけなのですが、よく聴くと久保田氏とDick Leeの志向の差がはっきりとしていてそれはそれで面白いアルバムでもあります。

試聴音源はこちらから
http://www.hmv.co.jp/product/detail/529933

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不条理音盤委員会 565 Kasia Kowalska 「Samotna w Wielkim Miescie」
- 2008/04/15(Tue) -
ある有名店でのみそラーメンのスープのコクのあまりの無さに激怒している片桐と言います。
先日、片桐宛に郵便物が届きました。差出人は「しりとりビンゴ普及会」というところで、中にはメモ帳サイズの冊子が入っていました。要は隣り合うマス目に四字熟語を入れて、欄を埋めていくものなのですが、これが結構難しいのです。それにしても誰が送ってきたのかは謎です。

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と、いうわけでポーランドの女性SSWであるKasia Kowalskaさんが2004年に発表した7枚目のアルバムです。本国ではかなりの人気を誇っている方のようで、1996年のユーロヴィジョン・コンテストにも出場していたようです(15位でしたが。。。)。この作品のジャケットやインナーの写真は何故か池袋で撮影されているのですが、片桐的にはこの表情から発作的にMichelle Branchを連想してしまったりするわけで、流れてくる音も欧米寄りのロック・サウンドを主体としていて、J-Popにも通じるような小気味のよい歌を聴かせてくれるのですが、そこに加味されるポーランド語の語感の不可思議さと微妙な哀愁の度合いの匙加減がこれまた耳から離れなかったりするわけでもあります。
メロディアスなフォーク・ロック風の「Ciesz sie tym dniem」、カントリー・タッチの「Samotnie spedze noc」、疾走感あふれるタイトなリズムの「Filizanka prawdy」、かき鳴らされるギターと共にエモーショナルなヴォーカルを聴かせる「To, co dobre」、切なげなミディアム・ナンバー「Swiat otepialy」、フラメンコ風のギター・フレーズも挿入されたラテン・ロック的な「Prowadz mnie」、自らを「stage animal」と称するKasiaさんの本領発揮ともいえそうな「Korowody marzen」、ブルージーな感覚も取り入れてアメリカン・ロックの王道をいくような「Wilczy apetyt」、サザン・ロック調の「Domek z kart」、シンプルなギター・サウンドが印象的な「Masochizm serc」、ほのかなサイケ風味がUKギター・ポップを思わせる「Dokad mam biec」まで飾り気のないストレートなロック・アルバムに仕上がっているのですが、やはりどうしても前述したようにM.Branch、あるいはSheryl CrowやAlanis Morissetteという人の名前が浮かんできてしまいます。前作ではもうちょっとバラエティに富んだサウンド・ワークだっただけに、どうしてこんな風な路線に突き進んだのか理解に苦しむ部分もあるのですが、、Kasiaさんの独特のハスキーがかった声は逆にこういったカラリとしたロック・サウンドに合うのかもしれません。

試聴音源はこちらから
http://merlin.pl/frontend/browse/product/4,380772.html

おまけは「Żyję Raz」のPV。


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不条理音盤委員会 562 Jesca Hoop 「Kismet」
- 2008/03/26(Wed) -
何か美味いものがないか始終探し回っている片桐と言います。
で、気になっているのがホルモンうどん(あるいはホルモン焼きうどん)なるもの。元々は西播磨地方の郷土料理だったようですが、
http://www.hm.h555.net/~sayou/sayoutyoukankou-horumon.html
岡山県津山市でも名物になりつつあるとのこと。
こういうのは簡単そうに見えても、やはりお店で食べるのが一番なのは言うまでもないのですが、さすがにそれも無理なので結局自分で作ってあれやこれや本場の味を連想することになりそうです。

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と、いうわけでmattsmoodさんのところでも紹介されていたJesca Hoopさんの1stアルバム「Kismit」です。「トム・ウェイツが絶賛する米の新人女性歌手」という鳴り物入りの彼女のこの作品は先日の小泉やよいさんの「SOLA」と並んで何とも不思議な魅力に富んだものになっていて、最近の片桐的ヘビ・ロテになっております。
自分の音楽を“mad music”と称しているJescaさんなのですが、ジャケット通りの小悪魔的な印象&気まぐれ仔猫そのままに、1曲の中に喜怒哀楽や静と動、そして陰と陽を同時につめこみながら時にはシリアスに、時には無邪気にと極めてナチュラルなスタンスを保ったどこかにありそうで、どこにもないといったマジカル・ポップ・ワールドを繰り広げています。
牧歌的でロマンチックな世界とほの暗さが同居している「Summertime」からただ事でない雰囲気を存分に感じさせるのですが、続いて不安感を煽るような実験的な音作りの「Seed Of Wonder」、多重録音されたヴォーカルと爪弾かれるアコ・ギの音色が美しい「Enemy」、Kate BushやDagmer Krauseを連想してしまう古い映画の主題歌のような「Silverscreen」、乾いたギターの音が奇妙なエキゾチック感を演出している「Money」、やはりアコ・ギの弾き語りで天使降臨系のハイ・トーンのヴォーカルに心が揺り動かされる「Love Is All We Have」、レゲエ風のリズムを借用しながら、変幻自在のヴォーカル・ワークを聴かせる「Dreams In The Hollow」。津軽三味線の吉田兄弟も参加したちょっと沖縄風の感じもする「Intelligentactile 101」、ドリーミーなポップ・ソング「Havoc In Heaven」、ヒップホップ風のバック・トラックにラップというかトーキング・ヴォーカルというか、リズミカルな声が楽しめる「Out The Back Door」、しなやかに歌い上げるような「Love And Love Again」まで、まさにポップの宝箱といった感覚の親しみやすいメロディーと絡みつくような凝りに凝ったアレンジメントが施されたカラフルな一枚です。で、これだけ楽しいのに微妙な陰影を感じさせてくれる部分にまたついつい魅力を感じてしまう片桐なのでありました。
最後に一言、もちろん美人です……(-。-) ボソッ。

試聴音源はこちらから
http://www.myspace.com/jescahoop
http://www.amazon.co.jp/Kismet-Jesca-Hoop/dp/B000T4SXCY
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不条理音盤委員会 561 小泉やよい 「SOLA」
- 2008/03/24(Mon) -
STVの宮田愛子さんのファンの片桐と言います。
もちろん、北海道の放送局の方なので「おはよう北海道」での声しか聴けないわけなのですが、ちょっと前の「グルナイ」に出ておりました。もっともスポットを浴びたのはSTVの同僚の急式裕美さんと高山幸代さんで、宮田さんはほんのちょっと映っただけでした(涙)。更に不幸なことに何か眠そうな顔でした。。。。

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というわけで、最近片桐がはまっているのが仙台在住の女性SSWの小泉やよいさんの1stアルバム「SOLA」だったりします。偶然立ち寄った店で流れていて、このCDも置かれていたので速攻で購入したわけなのですが、それ以来何度も繰り返して聴いております。基本的にはボサノヴァやフォークに影響を受けたオリジナル曲なのですが、少ない音数から紡がれるイマジネーション豊かな言葉がほのかな温かみと優しさを含んで流れてきます。Kate Bush直系というべきか、After DinnerのHACOさんとかを連想してしまうような小泉さんの独特の性質がまた不可思議な魅力にもなっていて、当然のごとくこの手の声に弱いので一発でKOされしまいました。
鍵盤ハーモニカがちょっとエレガントかつヨーロピアンな響きにも聴こえる「月のワルツ」、ジョビンの「三月の雨」への個人的なアンサー・ソングという、オルガンのフレーズが独特の「三月の雪」、次作への予告編らしいインストのミニマル風の小品「イントロル・ゴール」、拡声器を利用したダブル・ヴォーカルやSE風の電子音といった実験的な音作りとは正反対の柔らかい歌メロが印象的な「ほうき星 記憶の旅」、ボサノヴァ・タッチの佳曲「みずいろ」、小刻みなアコ・ギのカッティングの上に浮遊感あふれるヴォーカルがのる「カーテン」、かなしいことを歌ったという、風の音をSEに使った「風車」、小泉さんが生まれて初めて作ったという「なつのよる」まで本当にシンプルで飾り気のない音の組み合わせの中からハート・ウォームなメロディーがゆったりとした時間と共に流れてくるといったアルバムで、ノスタルジックだけど新しいという過去と現在が錯綜するような時間軸の中央で、ふと自分というものを振りかえってしまいたくなるような、そんなセルフ・セラピーのようなアルバムではないかと個人的には思っています。単なる“癒し”ではなく、聴く人の心の底にしまいこんだ思い出を掘り起こしてくれるような作品ではないかと思います。

試聴音源はこちらから
http://album-sola.seesaa.net/category/2022138-1.html
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